拍手お礼ストーリー
□降水確率90%
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―それはまだ、クロウ・カード集めをしていた頃に、自分が所有していたカード。
『小狼くんが、雷さんを使って捕まえたカードさんだよね、』
『あ、ああっ、』
・・・それ以上言うな、
消してしまいたいくらいのとんがった青い記憶が自分の首をしめる、
思い出したくない、が―
その時、自分の中にある絡まった記憶の糸がすんなりと解けた・・・。
『・・・やっぱり無理だな、』
先ほどさくらへ言った言葉を、あの時のオレも口にしていた、
「・・・やっぱり無理だな、
オマエにカード集めは無理だな、チカラがなさすぎる」
・・・でもアイツは一生懸命で、いつもまわりのことばっかり考えて、
『ぜったいぜったい、カード集めるって決めたから!』
そう自分で決めたから、
そうだ・・・
無理、じゃなかった―
『・・・さくら、』
『ほえ?』
【嵐】のカードを握り締めたままのさくらがオレを見上げる。
『・・・もしかして、晴れるかもしれないぞ、』
オレは空の向こうになる、小さな切れ間を指差した。
『さくらが晴れるっていえば、晴れるんだ。・・・そう、オレは信じてる、』
さくらの顔がみるみる晴れ渡ってくる。
『・・・うんっ♪
ありがとっ、』
嬉しさをはじけさせ、飛び上がってオレの首に抱きつくさくら。
いきおいよく、二つの傘がころがった。
―ふいに、お日さまの匂いが鼻先をくすぐる。
『ば、ばかっ、ぬぬ濡れるだろっっ、』
『へいきだよおおおっ♪』
2つの傘と、2つの影の仲睦まじさに、お天気の神様も重い腰を上げ始めた―