オハナシ

□サプライズ☆サプライズ
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5月28日pm13:15−

『お、お邪魔します・・・』

講堂に着くまでに、もう何度顔を覗かれただろう、
放送部のアナウンスを使って呼び出された千春を見ようと、上級生までが立ち止まる。

千春はさらに肩身の狭い思いをしながら、講堂の重い扉を開いた。

中には、誰もいない−
吹奏楽部も昼練はお休みのためか、いつも以上にしんと静まりかえっていた。

それもそのはず、
今日の13時からは生徒会が講堂を借りていたのだった。
−もちろん、山崎の根回しで。

『ここで、待っているね、』
さくらたちは講堂まで一緒に行き、お互いの顔を見合わせてから千春にそう言った。

せっかくの二人だけの誕生日、お邪魔をしてはいけない。
千春には、一緒に来てよと懇願されたが・・・丁寧にお断りしたのだった。


『や、山崎君・・・?』
どんなサプライズが用意されているんだろう、
千春は胸の高鳴りを覚えながらも、誰もいない講堂を、ステージに向かって歩く。


−すると、ステージの上から小さな拍手が聞こえた。

『・・・や、山崎君、これ、何のつもりなの!?』
いつものように少し声色を変えて、千春が言った。

ステージの影からぬっと山崎が姿を現すと、詰め寄ろうとした千春が足早にステージに駆け上がってきた。

『・・・ちょっと!?どういうこと?校内放送を使って、呼び出すなんてっ・・・』

『ははは、ごめんごめん、』
千春の声に目の色を変えずに、山崎が迎えた。
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