オハナシ

□サプライズ☆サプライズ
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−そんなことはない、きっと山崎なら千春のために何かすごいことをするに決まっている、
さくらは千春に同意しつつも、ちょっとだけ期待した。

だって14歳の誕生日は、一生に一度しかないのだから。

『でも、うらやましいな、』

『・・・え?』
さくらがさきほど数えた指先をみて、小さく笑った。

『10コ分の誕生日を、好きな人と過ごしているなんて、』

『さくらちゃん・・・』

『私も千春ちゃんたちみたいに、ずっと一緒に誕生日を過ごせるといいな、』
そういって、翡翠色の瞳に清々しい空を映すさくらに。

『・・・大丈夫よ、さくらちゃんたちなら、』

お世辞でも何でもなく、ただ、二人の未来がとても明るいものだと確信しているから、
千春は恋している友人に向かって微笑んだ。

−ほら、思った通りだ、
千春は視線の先にへの字口をした少年を見つけ、くすりと笑った。
その瞬間、昇降口にいる彼と目が合ったので軽く会釈をする。

大地色をした少年は何のことかと、ちょっと不思議そうな表情を見せたが、
おはよう、といつものようにそっけなく手を上げた。

それでも、日本に帰ってきてからは彼もだいぶ丸くなったものだ、
小学生の頃は結構ツンツンしていたのに。

これも、愛の力か、
千春はそっとさくらを見やった。

『ほら、李君が昇降口で待ってる、』

『あ、でも』
ぽ、っと頬を染めたさくらを、千春は今までに見たことがないくらいかわいく思えて。

初々しい二人が、何だかとってもうらやましくも思えた。

『いいよ、行って。李君とはクラスが違うんだから、今お話できなかったら帰りまで会えないでしょ?
私は大丈夫、・・・あとで教室でね〜』
そういって、さくらの背中をポンと押す。

『う、うん、行ってくる♪』
彼女の心と同じく、弾むように駆け寄っていく姿を、千春はまぶしそうに見つめた。


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