オハナシ

□花粉症にご注意!
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1限目の予鈴が鳴り終えると、それぞれ自分の席に戻っていった友人たちから小狼と山崎が離れる。
小狼が一言二言、山崎に何かを話すと・・・軽く手を上げて教室とは反対の方向へ歩いていった。

・・・それを見届けたさくらが小狼の後を追う。



『小狼くんっ、ねえ、ちょっとだけ・・・匂いをかぐだけでいいんだよ?』

『いやだ、』

手には、花粉症に効くといわれるアロマキャンドル。
さっき、知世から渡されたものだった。

『だって、奈緒子ちゃんが花粉症に効く、アロマキャンドルだっていってたよ、』

『い・や・だ、』

『・・・どして?』

『・・・今、鼻が詰まっているんだ、匂いどころか、味すら分からない。』

そういって、くしょんっ、小さなくしゃみを3つ連発した。

『ほえ〜?だいじょうぶ??』
心配症のかわいい恋人に、ちょっとひきつった微笑をみせると、小狼は言った。

『・・・大丈夫だ、これから保健室に行って薬をもらってくる。』

『わ、私も一緒にいく!』

『・・・だが、オマエのクラスは移動教室だろ?』

『ううん、大丈夫。1限目は自習だから、視聴覚室でビデオ鑑賞なんだ。・・・知世ちゃんにも言ってきたから、ね?』
さくらのかわいいお願いポーズに、少し頬を赤らめた小狼は、いつものへの字口で浮かんでくる笑みを噛むと、そっぽをむいて答えた。

『・・・すぐに戻るんだぞ、』

『えへへへ・・・うん♪』

そう返事をしたさくらは、まるで子犬のようにちょこちょこと小狼の後ろをついていった。



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