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□ミッション・クリア!
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すると、知世は、ふっ…とため息をつき、
『私は今まで、たくさんのさくらちゃんのコスチュームを作ってまいりました。
どれもさくらちゃんはお似合いで超絶かわいいかったですわ♪
そして、私はその姿をお側で撮影してまいりました。』
すっ…と知世が席を立ち、部屋の向こうにあるカーテンを開けるとシアタールームへ足を運ぶ。
そして小狼の方を振り返ると、にっこり笑い、手にしていたリモコンのボタンを押した。
『小狼くんっ!』
とたんに、画面いっぱいにあの頃のさくらが映し出された。
頬に手を当てうっとりとその勇姿を見つめる知世とは対象的に、大音量で自分の名を呼ばれた小狼はソファーから転げ落ちそうになった。
『さくらっ!!』
今度は若草色の式服をきた自分が、夢中でエリオルが作った結界を叩いている。
ピッピッ、
知世がもう一度ボタンを押すと、出会ったばかりのさくらが、「シャドウ」を使って「サンダー」を封印しているところだった。
…日本に来る前に、占いに出てきた女の子。
自分よりも先にクロウ・カードを集めている、と知ったとき、なんともいえない悔しさに唇をかんだ。
…初めて目にした、カードキャプターという存在。
それを睨み付けるかのように立っている自分。
…な、なんてヤツだ…
あの頃の自分が、突っ張っていて、青くて。
何もわかっちゃない子どもで…
恥ずかしい…
『も、もう止めてくれっっ!』
いつもはクールな小狼が慌てふためき、眉をハの字にして知世に懇願する。
大好きな少女のことになると、こんなにも年相応な男の子の顔をするとは、クラスメイト達も、彼に好意を持っている後輩たちもきっと知らないだろう。
知世はクスクスと笑い、
『…では、こちらは?』
と言ってリモコンを操る。
…冷凍室みたいな部屋だろうか。
さくらが「ウォーティ」を誘い出してから、「ウィンディ」を使って風を巻き起こし、なんと凍らせている。
『これは…?』
『李君が日本に来る前の、さくらちゃんのお姿ですわ♪』
『…汝のあるべき姿に戻れ。クロウ・カード!!』
画面には、主が放った優しい魔法に包まれた水の精霊が、ゆっくりと元の姿に戻っていく。
そう、そこには、自分の知らないさくらがいた。