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□ミッション・クリア!
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―…
『…こっこれはっっ!』
箱の中身を取り出して開いてみた小狼は、その白い短めの布が何か分からずに呆けて眺めていたが、しばらくして何かを理解すると、質の良いソファーの上で驚きおののいた。
白くひらひらした生地と、かわいらしいりぼんをあしらったソレは、可愛さの中にも大胆なデザインカットのあるセパレートタイプになっており、胸のところに刺繍されている桜のモチーフが、誰をイメージしてデザインされたかは一目瞭然だった。
『さくらちゃんの水着、ですわ♪』
知世はちょっと嬉しそうな表情で、優雅にカップを口に運ぶ。
『…今年新作の水着を作成したのですが…、内緒にしておいてさくらちゃんを驚かせようと思いまして…』
『えっ?』
『ぜひ、李君からさくらちゃんにこの水着をプレゼントして頂いて、さくらちゃんと海に行っていただきたいのですっ!
…そして、私は、お魚さんのように泳ぐ超絶かわいいさくらちゃんを撮影するっ!
ああっ、なんて素敵な企画なんでしょうっっ!』
知世はもはや、小狼を置き去りに、さくらの水着姿を想像してうっとりと宙を仰いでいる。
『…こ、断るっ!』
小狼は白くひらひらしたものを、触ってはいけないものだとばかりに無理やり箱に押し込んで言った。
『…だ、大道寺がっ、直接さくらに渡せばいいじゃないかっ!』
…確かにそうだ。
いつものように、さくらに着てくれと渡せばいい。
オレがそれをする必要はないだろう…。