10/01の日記

21:37
学校へ行こう。
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『これからは…ずっといっしょだよ、』

少女と同じ名をした花たちが、
春空に舞い上がり新しい旅に出かける。

高く遠く…―


オレの腕に、
今その可憐な花が飛び込んだ。

離れていた時間、
一度だって忘れたことはない。

…あたたかく、
優しいぬくもり。

今度こそ、
この手を離さずに

ずっとずっと……


…―
会えなかった日々を取り戻すかのように、オレはさくらの身体を抱きすくめた。

あの頃からいくときか季節を過ごしたというのに、
腕の中にいるさくらは相変わらず小さくて。

この小さな身体に秘められた、
溢れるばかりの勇気はどこからくるのだろうと不思議に思う。


『しゃ、小狼くん…』

オレの制服に顔を押しつけていたさくらが、消え入りそうな声で言った。

『…え、』

緩めた腕から顔を上げたさくらを。

―あらためて、見つめる。

白くすべすべした肌を。

桜色の明るい頬を。

『小狼くん、』と自分の名を呼ぶ潤んだ唇を。


そう、

翡翠色の瞳に残る、

…涙の跡さえも。


少女のすべてが

…いとおしい、と思う。


『…いっしょに、学校行こ?』

蜂蜜色の髪の毛を撫で付けて、さくらが言った。

その笑顔の花が眩しくて、目を開けていられない。

『ああ、』


―これから始まる、
オレたちの物語。


きっと、

…いや、

絶対大丈夫―



☆コメント☆
[あとがき] 10-01 21:43 削除
君が、愛しい5題、第1弾。原作ラストのシーン。
涙の跡さえ、という言葉をいれるのに、さくらちゃんはいつ涙を流すかな〜って考えて。おそらく後にも先にも涙を流すのは、小狼との再会した時の嬉し涙であってほしい、と思いました。さくらちゃんにはやっぱり、笑顔が一番だと思います。

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