小説@
□寄り道
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学校からの帰り。
小々田先生ことココと、のぞみは並んで歩いていた。
行き先はナッツハウス。
そこで、みんなと待ち合わせをしていたのだった。
2人は会話をしながら歩いていたが、のぞみが突然足を止めた。
「どうしたんだ、のぞみ?」
ココも足を止め、のぞみを見る。
その視線の先には、クレープの屋台。
「へえ、クレープの屋かあ。珍しいな」
ココはそう言って、のぞみと一緒にクレープ屋を見つめていた。
「ね、ココ。クレープ食べない?」
そう最初に言ったのはのぞみ。
目をキラキラさせ、ココに尋ねる。
本来なら、生徒の寄り道を止める立場のココ。
けれど、のぞみの楽しそうな顔を見て。
その提案に、ココは頷いた。
のぞみはチョコクレープを、ココは生クリームクレープを注文した。
屋台のおばちゃんから、それぞれ受け取り、近くのベンチに腰を下ろす。
「いっただっきまーす」
ぱくり、とのぞみはクレープを口に入れた。
「んー、おいしいっ。ココも食べよ」
「ああ」
そう言ってココもクレープを一口入れる。
「おいしいよ」
「でしょ〜っ♪」
そして、また一口ぱくりと食べる。
ふとして、のぞみはココが自分を見ている事に気がついた。
「ココ、どうしたの?」
食べないの?と尋ねると、ココは
「ん、食べるよ。けど、のぞみのも美味しそうだね」
と、笑顔で言った。
のぞみは、一口あげるとクレープをココに渡そうとした時、
ぱくり。
とココは、クレープを持つのぞみの手を引き寄せ、食べた。
まさか、自分が手に持っている状態で食べるとは思ってなかったのぞみ。
まるで、恋人みたいだと頬を赤らめた。
そして、トドメの一言。
「僕のも食べるかい?」
差し出されたクレープに、どうしようか、とさらに顔を赤くするのぞみだった。
2009・5・24