小説@
□夢の中で
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朝を告げるアラームが、のぞみの部屋の中に響く。
しかし、その音は鳴り止みそうにない。
なにしろ目覚ましをセットした人が、今だにベッドの中で寝ているからだ。
そのために…鳴り止まない騒々しい音に起こされたのは、のぞみではなくココの方だった。
「のぞみ…起きるココ!」
自分も眠たいが、平日で学校があるのぞみを優先し起こそうとする。
小さな体でのぞみの肩を揺らすが…けたたましい目覚ましの音で起きない人に、肩を揺するなどしても起きるはずがなかった。
しょうがない…
ココは人型になり、再びのぞみの肩を掴む。
「のぞみ…」
聞き慣れた声を耳に入れたせいだろうか。
それとも、夢でも見ているのだろうか。
ココの声を聞き、のぞみは眠りながら笑顔を浮かべた。
「……ココ……」
呟くような言葉を聞き、のぞみを起こそうとしていたココの手が止まる。
自分は…ココは、のぞみの夢に登場しているのだろうか。
のぞみの笑顔という表情から、いい夢でも見ているのだろう。
いや…もしかしたら、ココが出てきているから、いい夢なのかもしれない。
その幸せそうなのぞみの顔を、しばらく見つめるココだった。
2009・5・14