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□壊したい程愛しい人。
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散々エドワードの唇を堪能し、満足したアルフォンスは唇を離した。
そのとたんに足りなかった酸素を急激に肺に取り込み、エドワードは咳き込んだ。

「……っ、はっ、あ!ごほっ…ごほっ」
「大丈夫?兄さん」
「ア…ル!何だよ!どういうつもりだ!?なんだってこんなっ」
「だってこれの理由を聞いてきたのは兄さんだよ」

アルフォンスは左手首の傷をペロリと舐めた。
昨晩付けた新たな傷口はまだ塞がってなく、血の味がした。

「兄さん、好きだよ。この世で一番好き」

胸の内を蹴飛ばされ、ポロリと出た愛の言葉。
この気持ちに嘘はない。大切な兄さん。愛してる。
眉を寄せ、今にも泣きそうな顔でアルフォンスはエドワードを見つめ、そっと頬に手を添えた。
親指でエドワードの滲んだ涙を拭った。

「大好き。愛してる…でもボクの気持ちは言葉でなんか表せないんだ。“愛してる”なんて簡単な言葉じゃない…だから…」

アルフォンスはエドワードの傍から離れ、チェストから麻縄を出した。
ザラザラとした感触に頬が紅潮する。
それを両手でピンと引っ張ると、縄がキシキシと軋んだ。

「…その躯にじっくり教えてあげるよ」
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