短編@
□雨の中、二人
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「雲雀君、まだ休むには早いですよ。」
横たわる雲雀君に覆いかぶさると、顔を背けられた。
そして吐かれた言葉。
「そんな口でキスなんかしないでよ。」
それが益々僕を熱くさせることに彼は気付いていないのか、それとも確信犯なのか…
それは未だによくわからないけれど、ともかく僕に火がついたことは確かだった。
雲雀君の両頬を掴んで正面を向かせると、まだ彼の味が残る舌を無理矢理ねじ込む。
バシバシと僕の背中を叩く雲雀君にはお構いなしに、僕は口付けたままズボンと下着を脱ぎ去った。
そして自身を雲雀君の入口に宛てがってやると、彼は少し硬直して大人しくなる。
まだまだ、この瞬間が慣れないらしい。
「クフフフ…。雲雀君のその反応、僕のお気に入りですよ。」
「……馬鹿に、しないで。」
精一杯の反論を聞いたのち、僕は一気に雲雀君のナカに入っていった。
ああ、僕は再びくだらない感情を手に入れてしまった。
愛などという馬鹿げた感情は、真っ先に捨ててきたはずなのに…
敵同士として出会いながら、お互い手繰り寄せるようにして惹かれ合った僕と雲雀君。
そしてお互い、いつまでも抱き続けている罪悪感。
僕達の関係は決して明朗なものではない。
今が幸せなわけでもなければ、未来が明るいわけでもない。
「それでも、出会わなければよかったとは思わないんですよねぇ…」
苦笑しながら呟いた。
愛し合っている、ただそれだけの事実。
これだけが唯一ハッキリしていることだろう。
「それで充分、…ですかね。」
僕の欲で身体を濡らしながら眠ってしまった雲雀君の髪を撫でる。
降り止まない雨のせいで日が入らない窓を見上げて、まるで僕達の関係の様だと小さく笑った。
END.
◎あとがき◎
18696hitリクのムクヒバでした。
キリ番にピッタリなリクエスト下さった美結様、どうもありがとうございました!!
私ってばムクヒバ贔屓のくせにムクヒバで裏書いたのこれが初めてという^^
てか、BL久しぶりだったな。
本番も書こうとは思ったんですけどなんかくどくなる気がしたので濁しました。
梅雨だし外は雨だし、ということでのテンション。
ぬるくて申し訳ない(^^ゞ
読んでいただいて感謝です。
2009.6.21