短編@


□雨の中、二人
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「おやおや、ずぶ濡れじゃないですか。」

梅雨の季節特有の涼しさに誘われて、僕は珍しく散歩などしていた。
黒曜センターを出た頃はほとんどわからない程度だった雨が、帰ってきた今はだいぶ強くなっている。
そんな雨の中に佇む一つの影。
綺麗な黒髪からポタポタと雫が垂れ、かなり長い時間そこに立っていたことを示していた。

「建物の中に入っていればよかったのに、雲雀君。」

僕は小走りに駆け寄ると、そう言って彼の頬に垂れた雫を拭った。

「入ったよ。でも君が居なかったから出てきた。」
「おやおや、それは申し訳ありませんでしたね。」

不機嫌そうに目を反らす雲雀君の顔を覗き込むと、冷たい頬に軽く唇を寄せる。
雨の雫さえ、彼の頬を流れると甘くなる気がした。
雲雀君の背中を軽く押すと、彼の濡れた身体を庇うようにして中に入った。
























「自分で出来るよ。」
「いえ、やらせて下さい。僕が悪かったんですから…」

反発するそぶりを見せながらも、大人しく僕に髪を拭かれている雲雀君が可愛い。
思わず、沸き上がった衝動のままに抱き締めた。
濡れたシャツから、簡単に熱が伝い合う。
温かい…
そう思った途端、更に身体が熱くなった。

「ちょっと……!」

僕の変化に素早く気付いた雲雀君が、慌てたように放れようとする。
だが、僕の方が一瞬早かった。
雲雀君の腕を掴むと、彼の半乾きの頭を胸に抱え込む。

「やめてよ、骸っ…」

尚も反発する雲雀君の耳に唇を寄せ、息を吹き掛けるように囁く。

「大人しくして下さい?僕の可愛い、…雲雀君。」
「…………っ!」

ピクンと小さく肩を震わせ、僕の腕の中で大人しくなる雲雀君。
本当に可愛いですね。
可愛くて、…そして愛しい。













「風邪をひかないように、しっかり温めないといけませんからね…」

そう言いながら、雲雀君の唇に吸い付く。
軽く啄むようなキスを繰り返しているうちに、雲雀君の方から唇を割ってきた。
あまりの可愛さに、僕は彼の舌を深く捕らえる。

「んっ……はぁ…」

苦しそうな吐息をも奪うようなキスをしながら、僕は雲雀君のベルトに手をかけた。
器用にそれを外すと、ズボンの留め金を外しファスナーを下ろす。
立ったままの姿勢では、それだけでズボンは簡単に床に落ちた。





「おやおや、いけませんねぇ…」
「うるさい、な…」

既に充分に反応を示していた雲雀君自身を、下着の上からなぞる。
先端の割れ目に軽く指先を引っ掻けてやると、雲雀君の腰が引けた。

「クフフフ…、可愛いですねぇ。今日は特別ですよ。」

僕はそう言うとしゃがみ込み、一気に雲雀君の下着を下ろす。
その反動で勢いよく上を向いた彼自身を掴むと、口に含んだ。

「うっ……むく、ろっ…」

崩れ落ちそうになる雲雀君を支えながら、彼自身を口内で犯す。
雲雀君にグシャグシャに掴まれる髪の痛ささえ今は愛しい。
ほとんど雲雀君の全体重を頭と肩で受け止めながら、僕は口を舌を動かし続けた。

「もう……ダメだよ、骸っ……くっ…」

やがて悔しそうな嬌声があがったと思ったら、僕の口いっぱいに雲雀君の味が広がった。
そして僕が力を緩めた途端、雲雀君は床に崩れ落ちた。










 
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