短編@
□熱の効果
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俺はあの時、心に決めたんだ。
命を懸けてこの人を護ろう、この人の右腕になろう、と。
その決心は今も揺らいでいない。
だが、俺の中に芽生えたこの感情はなんだ?
あの人のことを考えると、胸が締め付けられる。
身体が熱くなる。
右腕としてだけでなく、もっと俺を見て欲しい。
………10代目。
俺はあなたのことを…。
「山本が来てくれて助かったよ。」
「ハハッ。そうか、ツナ?」
じゅ、10代目…!
俺じゃ駄目でしたか!?
確かに…、ムカつくアホ牛を止めようとしてボム放って、周りの状況は悲惨なことになっていますが…。
お、俺は10代目の為に…!!
「どうしたの、獄寺君?なんか元気なくない?」
え?
「そういやそうだな。なんか顔色悪いぜ、獄寺?」
オメーは黙ってろ、野球バカ。
「そ、そんなことないっすよ、10代目…」
とは言ったものの、…なんかヤベー。
フラフラする気が…。
「ご、獄寺君!?」
10代目の声が…遠い……ぜ…
…
……
…………
は!?
此処はどこだ!?
って、これは10代目のベッド!!
…そうか、俺、ぶっ倒れて。
また、迷惑かけちまった……
しかし…、
10代目のベッドで寝られるなんてラッキーだぜ。
10代目の香りが俺を包んで…
な、なんかヤベー…!!
ガチャ
「獄寺君?大丈夫?」
「じゅ、10代目!も、申し訳ありませ…」
「駄目だよ獄寺君、起き上がっちゃ。すごい熱なんだよ。」
そういや、身体がダルくて力も入らねぇ。
情けないぜ。
「母さんが、玉子粥を作ってくれたんだ。食べた方がいいよ。」
「し、幸せっす。」
マジで。
「あれ…?起き上がれねぇ…」
「えぇ!?そ、そっか。なら…」
な、何してるんすか10代目!?
「フーッ、フーッ。…はい獄寺君、あーんして。」
「!!!!!!!」
10代目…
10代目…
助けて下さい、俺の下半身が起き上がりそうです。
「よかったぁ。けっこう食べれたね、獄寺君。」
はい…、一生食べさせてもらいたかったっす。
「なんか…熱上がってない?」
当たり前っすよ、10代目。
「薬も飲まなきゃね。水は……どうしよう…」
そ、それなら…
「10代目…。く、口移しで…」
「ん?なに、聞こえ…」
俺は、近付いてきた10代目の顔を引き寄せて…
……キスをした。
…ピチュ
微かな音を立てて、俺は唇を離した。
「10代目…今みたいに口移しで…」
…
……
………
「ええええええええええええええええええええええっっっ!?」
「ど、どうしたんすか!?10代目ぇっ!?」
「ど、ど、どうしたって…だ、だって…キ、キ、キス、キス…あああぁ〜…!!」
しまった。
10代目を驚かしちまったぜ。
そりゃ……そうだよな。
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