短編@


□熱の効果
1ページ/2ページ




俺はあの時、心に決めたんだ。
命を懸けてこの人を護ろう、この人の右腕になろう、と。
その決心は今も揺らいでいない。
だが、俺の中に芽生えたこの感情はなんだ?
あの人のことを考えると、胸が締め付けられる。
身体が熱くなる。
右腕としてだけでなく、もっと俺を見て欲しい。



………10代目。
俺はあなたのことを…。

























「山本が来てくれて助かったよ。」
「ハハッ。そうか、ツナ?」

じゅ、10代目…!
俺じゃ駄目でしたか!?
確かに…、ムカつくアホ牛を止めようとしてボム放って、周りの状況は悲惨なことになっていますが…。
お、俺は10代目の為に…!!



「どうしたの、獄寺君?なんか元気なくない?」

え?

「そういやそうだな。なんか顔色悪いぜ、獄寺?」

オメーは黙ってろ、野球バカ。

「そ、そんなことないっすよ、10代目…」

とは言ったものの、…なんかヤベー。
フラフラする気が…。

「ご、獄寺君!?」

10代目の声が…遠い……ぜ…






……

…………










は!?
此処はどこだ!?
って、これは10代目のベッド!!
…そうか、俺、ぶっ倒れて。
また、迷惑かけちまった……


しかし…、
10代目のベッドで寝られるなんてラッキーだぜ。
10代目の香りが俺を包んで…
な、なんかヤベー…!!









ガチャ


「獄寺君?大丈夫?」
「じゅ、10代目!も、申し訳ありませ…」
「駄目だよ獄寺君、起き上がっちゃ。すごい熱なんだよ。」

そういや、身体がダルくて力も入らねぇ。
情けないぜ。




「母さんが、玉子粥を作ってくれたんだ。食べた方がいいよ。」
「し、幸せっす。」

マジで。

「あれ…?起き上がれねぇ…」
「えぇ!?そ、そっか。なら…」

な、何してるんすか10代目!?

「フーッ、フーッ。…はい獄寺君、あーんして。」
「!!!!!!!」

10代目…
10代目…
助けて下さい、俺の下半身が起き上がりそうです。












「よかったぁ。けっこう食べれたね、獄寺君。」

はい…、一生食べさせてもらいたかったっす。

「なんか…熱上がってない?」

当たり前っすよ、10代目。

「薬も飲まなきゃね。水は……どうしよう…」

そ、それなら…

「10代目…。く、口移しで…」
「ん?なに、聞こえ…」



俺は、近付いてきた10代目の顔を引き寄せて…
……キスをした。

















…ピチュ


微かな音を立てて、俺は唇を離した。

「10代目…今みたいに口移しで…」


……
………

「ええええええええええええええええええええええっっっ!?」
「ど、どうしたんすか!?10代目ぇっ!?」
「ど、ど、どうしたって…だ、だって…キ、キ、キス、キス…あああぁ〜…!!」

しまった。
10代目を驚かしちまったぜ。
そりゃ……そうだよな。










次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ