◇ ◆ 薦 蓮 集 ◆ ◇


【み】 2件

【湊(夜神月×弥海砂) (みなと)】


「???」よく分からないが、ミサがキレまくっているのだけは、確かだ。翌日僕はフルーツゼリーの詰め合わせを持って、彼女に会いに行った。

「ららら、ライト!?」今度はミサが、挙動不審だ。「こんな所まで、ごめんね」

「私、駄目なの」「彼の、あの目…分かってるの。“お姉さん”を求めてるんだって」「でも、私は違う。本気になりそうで怖いよw」「やっぱ年上だから、気にしちゃう…」

港になりたいの、呟くようにミサが言った。色々な経験をして、たくさんの人に出会って、それでも《お前が一番良かった》と言ってもらえるような、最後の女になりたいな、と。

僕は…何もできないし、言えなかった。人の真剣な想いに、中途半端に介入できない。僕がやれるのは、静かに見守ることだけ。メロもミサも、僕らと関わったすべての人達も、みんなが幸せでいられるように、ほんの少しだけ助力する、ただそれしか、できないのだ。



…この夢は、「確かに夢」なのだが、書いてしまって良かったのか、今も迷っている。


【港(夜神月×メロ) (みなと)】


「…だめ…できない…」

玄関外から、微かだが男女の小競り合いが聞こえる。内容はわからないが、声主はすぐ判明した。メロとミサだ。

(あの…馬鹿!)(女性を傷つけるな、とあんなに手厳しく教育したのに!!)怒り心頭に達した。拳を振り上げて玄関口に向かうと、「ただいま〜」と素のメロが、靴を脱ぎかけている所だった。

「おおお、お帰り」僕の方が挙動不審だ。拳をしまった。「ミサと喧嘩したのか?声が聞こえたけど」

「ああ」「カップケーキを頼んだんだよ」「前くれたのが旨かったから、また作ってって」「そしたら“もう出来ない”って」「あんなのは、市販の粉混ぜて、焼くだけだもの。誰でも同じ味が作れるよ!」「あたしのが、特別美味しい訳じゃないよ!」「そんなに食べたきゃ、自分で同じ粉買って作ったらいいじゃない!!…だって。材料費くらい、渡すべきだったかな」



【湊(夜神月×弥海砂) (みなと)】に続く⇒



[戻る]



©フォレストページ