◇ ◆ 薦 蓮 集 ◆ ◇


【こ】 1件

【寿(夜神月×魅上照) (ことほぎ)】


「おめでとう、と言うべきなのかな」

初めて、魅上に呼び出された。いつも召集をかけるのは僕だったが。

知人のお嬢さんとの縁談がまとまったらしい。その女性は僕もよく知る人物で、メンバーを鼓舞し士気を上げる、豪放磊落な方だった。

社長令嬢らしく、人脈が手広くチケットや会場などに力を貸していただいた、綺麗な人だ。

「結婚するつもりはありませんでした」
「強く、求婚されたからです」

真面目くさって、そう報告する彼に、吹き出すのを堪えながら

「いいじゃないか。望まれる内が華だぞ」

そうだ。強く求められている内が…傷ついた顔を見せてしまっただろうか。魅上の顔色が変わった。

「私は今後、仕事と家庭に集中するつもりです」

尤もな主張だ。人によって大切なものはみな違う。例えば僕にとって、竜崎とメロだ。

「…だが《たった一度だけ》、家庭も仕事も捨て、どんな時も召集に応じ、命を懸けます」
「私の《使いどころ》を、間違えないでくださいね」

…馬鹿、な。お前も彼女も大事な友達なんだぞ?!そんなことする訳――

「私にとって、あなたも大事な人です。神…」



という夢を見た。友人はある程度いるが、《真の理解者》は彼だけだと思っている。心から、御二人の幸福を祈る。



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