◇ ◆ 茶 恋 詞 ◆ ◇


【K】 1件

【Kairbetta】
丘の頂上


本当に欲しい物――分かっている。それは、視線の向こうにいる、あの男を「超えること」だ。

だが、どうやって? 彼以上に稼ぐ? 僕は…心を込めて愛するし、決して裏切らないが、彼ほどの商才は、無い――

「…な、に睨んでんだよ? 怖い本でも、読んでるのか」注視に、我慢ならなくなったらしい。「僕、社長になりたい」「あなたの会社を、買収するんだ」

「はぁ?」大人の対応だった。「お前はそういうの、向かねえよ」「金が欲しいなら他を選びな」

一笑された。こういう所、か。僕にないもの――余裕というか、包容力。僕は、決断した…《彼の、すべてになる》。

彼の、父親にも、母親にも、祖父母にも。彼を取り巻き、愛するであろう人々のように《僕も、彼を愛する》。

僕が、あげられるもの全部、おしみなく彼に差しだそう。自分の命のように、彼を大切に守り、大事にする。それこそが《僕のできること》。それしか、できないけど…。



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