◇ ◆ 茶 恋 詞 ◆ ◇


【G】 4件

【Giddapahar】
ハゲワシの丘


「あれ? お前ら、知りあい?」…明らかに、様子の違う2人に、勘の鋭いアイバーが気づいた。「いーえ。全然w」

拓男は、以前交差点で初めて見せた、恐い目線で、僕を見た。(…俺を「知らない」と言え!)関わるんじゃねえよ、と言わんばかりの強い圧迫感だった――僕は、観念した。

「はい。名前は存じ上げませんが」「…は?」「ああ、この人拓男。名字渋井丸ね。こちら夜神月さん」

「…どういう、ご関係ですか?」「店の常連客(嘘)。お前らは?」「交差点で、会ったんです(本当)」「またまたぁw そんな子には、見えなかったのになあ(←現在も、意味不明)」

その後、僕は彼らから離れて、本を読みながら竜崎を待った――僕の生涯で大切なものを得られた、宝物のような夜だった。


【Gielle】
レプチャ族の王


――行為を終えて、小休止していると、彼がじっと、僕を見つめていた。(いつもは、目を閉じているか、そのまま眠っちゃうのにな…)

「どうしたの? 疲れた」「…お祭りに行くと、必ず綿菓子を買うんです」「5色の。袋の、長いやつ」――彼の話は、いつも唐突だ。だけど低い声が、心地いい。

「一緒に、行こうね?」「今度は、僕が買ってあげる」お誘いかと思って、嬉しかった。「違うんです。私は――」

「私は、今まで…煙草臭いのやら、酒臭いとか、唾液臭いのとしか、キスしたことありませんでした」(何を――言い出すの?)さすがに、起き上がった。「…僕が手慣れてなくて、未熟で我慢ならないって、言うの?」

「違いますよ。月くんは――」彼も起きて、僕の両肩に手を添えた。「まるで、綿菓子です」「心地いい柔らかさと、甘さが、ある…」


【Goomtee】
折り返し地点


いきなり…キスされた。「ほら、ね?」「綿菓子に口をつけた、あの触感」「同じですよ――食べられないかな」…本気で、口唇に歯を立てられた。

「痛いよ、やさしくして?」「じゃあ、優しくしましょう――大人の、やり方で」

長いキスを、初めてされた。舌が…口腔内を生き物のように、ねぶる。(はぁ、ん――苦しすぎて、息が、できない…)背筋を、快感が走った。体じゅうが、ひくついた。

「気持ちいい、でしょう?」勝ち誇った顔で、僕の唇を解放した。「絶対、誰にも渡しませんよ――」


【Gopal】
神が遣わした子供


「…明日さ、河原行こうぜw」

店の売上が悪いと、気分転換に決まってアイバーが、こう繰り出す。しかも、この時点で「誘い」ではない。既に決定事項だ。

竜崎を待ち、本を読んでいた部外者の僕が、席を外そうとすると…「馬鹿。お前も来んだよww」あのー、俺ら用事入ってて。私も明日、約束があって――等、他の従業員さんの言い訳を、適当に流しながら、「ああ、いいよ。お前らも、楽しめw」

「女を連れてくからな。頼んだぞ?」声を落として、話しかけてきた。「…何故、僕を?」「女ウケが、やたら良いから(笑)」――本気で、ムカついてきた。

自宅前に、迎車が来た。乗り込むともう、アイバーはよろしくやってる感じだった。後続の車を併せると、総勢20名ちょっと。歯科医とかも、いるらしい。

「俺らが、《最後の良心》だ…」仁さんが、熱く語り出した。「おっぱじめちまったら、《全力で阻止》するぞ。いいな?」そんなこと言っちゃってー。出目川さんには【最後のチャンス】かも、しんないですよw――拓男がさりげなく、酷い事を言った。



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