◇ ◆ 茶 恋 詞 ◆ ◇


【D】 3件

【Dakotee】



「好きだ」(…しまった!声を)「…知っていましたよ、月くん」「!!?」「もうずっと前から――」

涙が、止まらなくなった。「ごめん…嫌いに、ならないで」――想いが届いた幸福感と、明日からの不安感で、震えが抑えられない。(どうしよう…)自分を、両腕で抱き締めていた。

彼は、嘆息しながら「一回だけ、ですか?」「いちどだけ。想いを、遂げたくて…」「一回で、何がわかると言うんです」「――え?(何を、言い出すんだ)」

初めて、なんでしょう? 教えてあげますよ。色々と――こんな感じで済し崩し的に、僕らの関係は始まった。


【Devgiri】
神聖な山


竜崎に、料理を教えたのは、仁さんだ――家に帰って来る度、習ったことを実践(≒実戦?)してくれるので、毎日おいしいご飯が食べられて、僕はとっても幸せだった。

(竜崎が言うには、)アン・ルイス似のお母さんが、荻窪で日本料理店を経営していたので、結局この道を進んだのも、その影響があるかもしれない、と言っていた。

「仁さんに一番褒められるのは、賄いの炒飯ですよ」「…?? それって、褒められてるの」「ええ。“店やれるレベルだ”って」「“今まで食った中で、最高の炒飯だ”って」…彼が笑顔でいると、僕も幸せな気持ちになる。

「では、“ごちそうさま”――」「ええっ☆ “ごちそうさま”も、するの?」「そうですよ。世の中の、バカポーと呼ばれている方達は、全員するんですよ(嘘)」

はい、じゃあ――軽く、キスされた。この時はまだ…子供扱いだ。


【Dhara】
河川地域


拓男とは、アイバーを介して知り合った――いや、これは正確ではない。拓男のことは、もっと以前から「知っていた。」

昼間、交差点で向こうから来る、大勢の中の一人と、目があった――彼は視線を、逸らさない。僕も…外す理由も、意味もなかった。

接近した時、彼は口の端で“ニッと”笑った。僕も笑顔を返した。彼も僕も――互いの姿が見えなくなるまで、何度も振り返って、目で追った…《運命的なもの》を感じた。

数日経って、定食屋の前で電話する彼に会った。その時は気づいても、互いに目礼だけだった。(…こんな、出会いもあるのか)と、思った。

別の夜、アイバーの店に行って、彼と再会した――拓男とアイバーは、ぶ厚いマニュアルのようなものを繰りながら、真剣に話をしている。何かの交渉を、していたのかもしれない。



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