◇ ◆ 茶 恋 詞 ◆ ◇
【A】 2件
【Arya】
力強い尊厳
「急ですいませんが、手伝いに来て貰えませんか?」
激混みで、大変なんです――携帯が切れた。僕、ああいうの本当、不得手なのに…苦手は、他にもあった。
ティエリ=モレロ氏(通称アイバー)は、飲食チェーン店を経営展開する、いわゆる遣り手だった。当時竜崎は、彼の店を任されていた。
「悪かったね? 突然w」そんな事、微塵も思ってない笑顔で、迎えた。「…早速で悪いけど、奥に入ってグラスとか、洗ってねww」
厨房に入ると、竜崎がいて、アイコンタクトを交わして笑ってくれた。(…頑張るよ!!)やる気モードに、点火した。
――すごい量の洗い物を、一心不乱で片付け続けた。(あと少しで、終わる…)ほんのちょっとの、油断だった。
【Avongrove】
小鳥の巣
一個のグラスの落下音が、店内に響き渡る――「失礼しました」「しました」「しましたー」何人もの従業員さんの、謝る声が聞こえてきた。
失礼しました。と言ってから振り返って、竜崎を見た。彼は、(…自分が、やった事でしょう? 自分で責任をとりなさい)とでも言いたげな、冷たい表情だった。
何だか悲しい気持ちでいると、畳み掛けるように、災いはやって来たw――「あーあ。これ、バカラだよ?(嘘)」「バカラって、国宝だよ(嘘)」「こりゃあ、50年はタダ働きして貰わんと(大嘘)」
もういいじゃねえか! 怪我しなくて良かったな? ――ありがとう。仁さん、大好きだよ☆
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