◇ ◆ 薦 蓮 集 ◆ ◇


【く】 1件

【轂(竜崎×夜神月) (くるま)】


「姫(秘め)はじめ、って知ってますか?」

百人一首、出来ます? のような、まるでかるたに誘うみたいな軽いノリで、竜崎が訊いてきた。僕は新春2度目の餅で、軽くむせった。

「ああ」「では…」「しないから」「皆と会った時点で、疲労困憊ってどうなんだよ?!」

只でさえ難攻不落なのに――今回は、戦局が全く見えない。メンバー他も休暇返上で頑張っている。(僕がしっかりしなくては…)

「あなたは、かぐや姫だ」「私を置いて、どこかに連れ去られてしまう…」しまった、屠蘇を飲ませすぎたか?(笑)

「竜崎、後15分で迎えの車が来る。支度急いでくれ」「私を、置いて行かないと――」(…どうしたんだ。この飲んだくれは?)「約束を――」

僕は笑った。「ああ」「飽きるまで、傍にいるよ」「全て終えたら、リンダの所へ――沖縄に行こう」

光を、目指すんだ。星を輝かせるものは、闇でも、夜でもない。溢れんばかりに満たされた、尽きることのない暖かな光、だけだ。



という夢を見た。僕らはそこに必ず、辿り着く。



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