◇ ◆ 薦 蓮 集 ◆ ◇
【か】 1件
【鏡(竜崎×夜神月) (かがみ)】
「僕は、お前が大嫌いだ」
ついに言ってしまった。僕はこいつの珍妙な言動の数々を、ずっと我慢してきた。
「奇遇ですね。本音を言えば、私も嫌いです」
なんだって? あらゆる努力を重ねて円満な人間関係を構築しようとした(本来の意図は、それを遥かに逸脱したものだが)僕に向かって、そう放言した。
「そっ、か……似た者同士と言うわけだな」
なぜか胸の痛みを少し感じて、乾いた笑みを浮かべた。彼は僕を見つめ、決して目を逸らさなかった。
「…どうです? 苦しいでしょう。おまえの苦しみは、私の苦しみ。だから言ったのです。《嫌いだ》と」
ま、待ってくれ! それなら言う。今すぐに!!
「冗談だよ。竜崎は、僕の大切な人だ」
「奇遇ですね? 本音を言えば、そんなに私も嫌ではありません。寧ろ好きです。寝食を共にしたい。《永遠に》」
…という夢……じゃなかった!!!!!(笑)
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