振り

□あの子のための
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「やー朝ごはん作ろうかと思いまして…、あはは…」


「水谷がー?めずらしー」

俺だってやればできるよ。


「いいよ。俺やる」


「えっ!」


それでは困る。


栄口はお母さんがいなくてお父さんも出張やなんやらでいないときが多い。

だから、自分達の身の回りの基本的なことは出来て当然なのだろう。

それに加えて他人への気配りも、もちろん料理も。




「いーの!栄口疲れてるんだからできるまで座ってて!」


「ほんとに良いのー?」


「良いの!」



自分のことは自分でやるという主義なのだろうか。

やっとのことで栄口を説得することが出来た…。



「美味しくなかったら怒るからねー」


そんなかわいいことを言って去っていった。





愛するあの子のために腕によりをかけて作る。


この世で一番美味しい料理。





作れる自信はあんまりないけど、あの子のことを思えばきっと美味しくなるはず。






今までで一番美味しい料理をあなたに。







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