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□♪05【練習室のマリア】
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『うわぁ…っ可愛ぃ…』
その正体を確かめてみれば、それは天使のような寝顔をした美少年で。
僕は体を起こし隣にしゃがみこむと、地面に転がっている男子生徒を改めて眺めた。
ブルーのタイをしているところをみると、音楽科の1年生のようだが…?
僕は鞄から再び天羽情報(←天羽からゲットした参加者情報)を取り出すと、パラパラと読み飛ばした。
(あ、やっぱり♪)
『志水桂一…チェロ専攻…フムフム…あ、趣味昼寝だって…アハハ、今まさに……』
「…ん…っ…」
『あ、起きた?』
うっすらと目を開いた志水くんの視線は、眠さからかまだ焦点が合っていない。
彼はムックリと起き上がると、片手で眠気眼を擦りながら小さくあくびした。
『こんな所に寝てると風邪引くよ?そろそろ日も落ちてくるし、早く帰った方がいいよ』
「…はい…、ありがとうございます……」
そう微笑む志水くんの頭を優しく撫でてやると、僕は立ち上がって制服についた芝を払い落とした。
ここでのんびりはしていられない、僕にはやることがあるのだ。
芝生に転がっている鞄を拾い上げると、「じゃ、また明日ね」とだけ言って先を急いだ。
「…また…明日……?」
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