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□♪03【アウェイな男】
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【2−A】
『あった…ここだ、ここ』
僕たちは今、音楽棟のとある教室の前まで来ていた。
目的地に着いたはいいが、普通科とはまるで違うその独特な雰囲気に、先程からどうにも落ち着かないでいた。
我が星奏学院は、普通科と音楽科に別れていて、校舎が違ければ制服も違う。
音楽科の制服は白ブレザーに黒パンツ、普通科はその逆の配色をしていて、紛れていれば一目瞭然だ。
『確実に浮いてるね、僕ら……』
「確かにな」
音楽棟へと1歩足を踏み入れた瞬間から、突き刺さるような視線が自分たちへと集中していた。
あからさまにジロジロ見られて、居心地が悪いなんてもんじゃない。
そう思ってるのは僕だけではないようで、土浦の眉間には皺が寄っていた。
「…でも気分悪いな、こう他所者扱いされると」
『音楽科と普通科それぞれの集団意識が強いからね。同じ学校っていう意識が薄いのかな』
「言えてるな」
実際、生徒会をとってみてもそうだ。
通例生徒会長は普通科から、副会長は音楽科から選出されていて、お互いが独立してそれぞれの科を取り仕切っているのだ。
その時。
不意に後ろから声をかけられ、僕らの会話はそこで中断された。
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