T
□♪05【練習室のマリア】
1ページ/4ページ
「会長〜!おっ待たせ〜♪」
『…悪ぃ』
鼻歌まじりにやって来た天羽の肩にポンと手を置くと、僕は心痛な面持ちでそう呟いた。
「…はぃ?」
『デザートも付けよう。じゃ、またの機会に!』
「ちょ、ちょっと〜っ…!!」
返事を聞くのも怖いので、僕は言い逃げるようにその場を後にした。
もちろん全速力で。
(許せ、天羽……)
今、僕は練習室棟の裏手にいた。
なぜこんなところにいるかというと…先ほどリリに泣きつかれたからだ。
どうやら日野さんの説得がうまくいかなかったらしい。
まぁ、当然といえば当然だろうけど…。
(日野さん、まだいるかなぁ…?)
窓の外から1部屋ずつ中の様子を窺って歩く。
リリと日野さんが話し合いをしたという部屋はこの辺だろうか……?
『…ぅわ、わっ!?』
ズデンッ★
『…イッテてて……ったく、何だよもうっ!!』
まさか足元に危険が潜んでいようとは。
そんなこと考えもしなかった僕は、思いっきり何かに躓いてしまった。
.