Parfait〜友情編〜
□『プライド』下
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「あぁーも〜〜ー…」
朝っぱらから頭を抱えて、学園までの道を歩く。
何で今日に限って、一限目が国語なんだ…。
綾川先生の授業ってことは、竜士も朝から授業に出るハズ。
もう、見栄張って「絶対休まない!」なんて言うんじゃなかったかも…
でも、そしたらお母さんがますます心配してくるのは目に見えてたし。
…それにしても、いつもアップにしてる前髪を下ろしてるから、かなりウザったい。
まぁこんなことをしたって、1日経ったボクの顔は凄い痣が浮いてきてヒドイことになってるし、バレバレなのはわかっていたけど…
やっぱり男として、ボコられたってのはすげー恥ずかしいし。
少しでも隠したかった。
(アイツらも、今日は教室にいるんだろうな…)
サイアクな3人組と、竜士や薫、先生が同じ教室にいるなんて、かなり気まずい。
どうすっかなー…
それでも根がマジメなボクは、サボらず教室に向かっていった。
嫌な緊張感を持ちながら。
いつもなら、前の扉から派手に登場するんだけど、今日はとてもそんな気分になれない。
後ろの扉まで歩いて行き、さり気なく教室に入っていく。
「駿ちゃん、おはようー。」
早速声を掛けられてしまった。
いつも話し掛けてくれる女子だ。
「おはよ!」
ボクは髪で顔を隠しつつ、声色だけは明るく努めて答えた。
さっさと席に向かおうとしたけど、彼女はボクの肩を掴んでくる。
「ねぇ、駿ちゃん…?」
やっべ、マズイ…
彼女はおそるおそるボクの顔を覗き込んできて、目をこれでもかってくらいに見開いた。
「優ちゃん、シーッ…」
「きゃーーーっ!!!」
だめだ、遅かった…
昨日から、もう何度も悲鳴をあげられてる気がする…
ゾンビになったわけでもないのにさ。
「優子どうしたの?大丈夫?」
女子が集まってくる前に、ボクは優ちゃんの頭をポンポンと叩きながら「へーきだよ、ねっ?」と苦笑いして、自分の席に着いた。
スゴイ視線を感じるんですけど…
やっぱ、休めば良かった。
「駿……?」
きた第一関門目!
薫の声だ。
ボクは観念して、ゆっくり顔を上げる。
「おはよっ!…っ」
反射的に笑おうとして、顔に痛みが走る。
でもそんな痛みよりも、ボクは薫の表情に釘付けだった。
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