Wants 1st 番外編

□『恋する君と休日。』
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「こーすけ、こーすけ。もう昼。メシ食うだろー。」

「んー…」


布団にくるまって丸くなっている昂介をゆさゆさと揺すれば、小犬が鳴いてるような声が聞こえてくる。
ほんっとコイツは朝弱ぇよな。あ、昼だけど。


「…昂介、置いてくぞ。」

「……」


あえてまるで学校に行く時みたいなトーンで言えば、案の定ぐりぐりと布団の方に擦り付けていた頭の動きがピタリと止まった。
ウケる、完全フリーズだし。


「…つばさ!!」

「はいはい。」

「待って、俺待って、制服が明日のてっぺんで窮屈だから――」

「なるほど、さっぱりわかんねぇな。」


がばりと起き上がって宇宙と交信し始めた昂介に答えつつ、よしよしと頭を撫でてやれば、思いっきり抱き付かれる。
今胸板でドンっつったぞ。


「顔面潰れてねぇだろうな…おーい、昂介ー?」

「……」

「……いやいやそこで寝んな、落ち着け。いや落ち着いちゃダメなのか、」


べりっと昂介を剥がし、とりあえずベッドから降ろそうとぐいぐい引っ張った。
なかなか目が開かない昂介は、犬猫みたいに顔をこすって不服そうな呻きを漏らしている。

…しょうがねぇな、奥の手使うか。


「今すぐ起きた人には、特別におはようのチューしてやる。カウントダウン開始、3…」

「…起きた、俺起きた!」

「ぶっは、目ぇ開いてねぇし!」


糸目状態で挙手した昂介が無性に可愛くて、若干絆されつつも俺は部屋のドア際に立つ。


「んじゃココまでおいで。」


そう声を掛けると、よろよろしながらもこっちまで歩いてきた昂介。
やっぱり腰は、全快じゃねぇか…。


「偉い偉い。」

「チュー…」

「ん。」


約束通り唇に軽いキスを落とせば、ようやく半分開いた目ではにかむ昂介。

あぁ、やっぱ可愛いな。
他の奴だったら起こすのなんて超メンドイけど、昂介は楽しめるから良い。


「じゃ、顔洗ってこい。今日は巳弘がメシ作ってくれるって。」

「…ん…」

「だいじょぶか?ほら、しっかり歩け。」


俺は後ろから昂介の両肩を持ち、とりあえず洗面所まで連れていった。
顔を洗えば、少しはシャキッとすんだろ。

昂介が顔を洗う準備を始めたところで、俺はリビングへ向かう。



――まぁ、いつも通りの休日の始まりだ。


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