short novel

□てのひらいっぱいの湖にあなた宛の手紙をかこう
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Dear, Alma

お久しぶりです。貴方は覚えていらっしゃるでしょうか。
貴方に素直になれずに、傷つけてしまった私です。

さて、いきなり何をと思われると思いますが、今日は貴方をどうしても思い出してしまうので、今の私の率直な心境を話します。何故だなんて聞かないで下さい。


今年、人間でいう18歳になりました。周りには幼い頃からいつも一緒に居たリナリーはもちろん、この世界の沢山の出来事を記録する人物の跡取りであるラビ、それにやっと素直に笑える道化の…アレンと言う人物が入団しました。そいつは本当に昔の私とそっくりで驚きました。


素直になれずに何かを纏う癖、自分と他人の関わりにおいて一線おく癖。本当に数え出したら止まらないぐらいです。そこでどうすればその人間の感情を溢れさせれるかを考えました。
貴方が私にしてくれたのは、素直に私に接してくれた事。それが出来れば何も苦労は無かったのですが、何しろ今でも貴方ぐらいにしか素直に気持ちを伝えれる人物はいません。


それでも、何とか彼を変える事は出来たのでまぁよしと致しました。私だけではなく、リナリーやラビ、更には私が嫌いなイノセンスまでに彼は変えられたのです。


嗚呼、そういえば貴方も私を救う為にイノセンスと適合し、動き出してくれました。あの時の事は、あの日は忘れられません。
思えば、貴方のあの時の想いが今の私を救っているのだろうと信じています。
笑って、私の名前を呼んでくれました。


少し、紙がよれてしまっています。まぁ貴方に届くかすら危ういので気にしないで下さい。
今、私たちが立ち向かうべきものは未来だと思います。貴方が残してくれた未来、貴方が残してくれた記憶、貴方が残してくれた想い。全てが無ければ私は此処にいません。
こんな不器用で、素直じゃなく、冷徹で、酷い奴にも「愛」を下さったのです。


私なんかに、未来を残してくれてありがとう。
私なんかに、記憶を残してくれてありがとう。
私なんかに、想いを残してくれてありがとう。


沢山の「ありがとう」を、貴方へ。
どうか、幸せになって下さい。どうか、沢山笑ってください。貴方の幸せを唯、願っています。



love,
yu
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ペンを机に置き、すっかり流れきってしまったものをゴシゴシと拭く。
それを見せないかのようにそれを紙飛行機のように折り、近くの窓からアジア支部がある方角へと飛ばした。


「アルマ…ありがとう…」


今、俺は、幸せです。


てのひらいっぱいのにあなた宛の手紙をかこう
(たまった涙と共に溢れかえるのは、幸せ)
(今は心から笑える)


ありがとう、ユウ。

僕を覚えててくれて、ありがとう。







end

To,泣き出したいのは君のせい
 

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