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□ひそかに溢れるスウィートブルー
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京介…もう少ししたら親、出ていくんだろ。それからにしろよ…。

やだ、待てない。俺は今、公平が欲しいんだよ。



陽が落ちてカーテンが閉じられたままの部屋は、もう明かりを点けないとかなり薄暗い。お互いの姿をなんとなく確認できるくらいで、京介と公平は顔を寄せ合い二人にしか聞こえないように声を出さずにぼそぼそと言葉を交わした。
座って向き合った状態で京介は公平の腰を引き寄せると、公平はバランスを崩して京介の胸に顔を埋めた。

夕方から出勤する京介の母親がまだ隣の部屋で準備をしている物音がする。アパートの壁の薄さと部屋の静けさが分かって、公平は一層身を固くする。
気付かれる不安と同時に京介の手が自分の体を滑っていくことを感じ取ると期待をせずにはいられなくて、公平は先程京介に促した注意をすでに頭の隅に追いやっていた。

公平は声を出したり物音をたてなければ気付かれないだろうと思って、身じろぐことはせず京介の甘い手の動きを受け止めることにした。


公平の動きがないことに気付いた京介は顔を覗き込むと、潤みはじめている公平の目が暗がりの中で光っていて、元々手を止める気はなかったがそれでさらに背中を押されたような気がした。


公平にキスを仕掛けるとすぐに応じられて舌の感触がしたが、吸い上げると音がしてしまう。公平の吐息がじわじわと熱くなっていくのを感じながらどうしようかと考えて、京介は一旦口を離すと公平の耳元に寄せてぼそりと言った。


舌だして…


その時唾液で濡れた京介の唇が耳を掠めて公平は腰をびくつかせた。公平の酷く弱い性感帯だとは知っていたが、掠めただけで反応したのを見て京介は口元だけでにんまりと笑った。

耳たぶをくわえてみたり、舌先を尖らせて穴の周辺を突いて遊んでみた。
そのたびに公平の体がびくびくと震えて感じていることが分かる。京介はその様子が可愛くて笑いを止められなくて耳元でふっと笑ったら、公平に襟足の髪の毛をぐいっと引っ張られて離される。

きつく睨んでくる公平の目は京介のからかいを咎めているもので、京介はもう一度笑ってごめんねの意味を込めて公平の頬を手の平で摩った。


すると公平が舌を出したから、そういえばキスの途中だったと思いだし京介も舌を伸ばした。
音がしないように口外で舌を絡めてお互いを味わうと、いつもより舌を押し付け合っているせいか京介は公平の肉厚な舌の感触を感じて堪らなくなった。


公平をぎゅっと抱きしめると自分の股間に手を持ってこさせる。
その時公平の首筋に顔を寄せた京介が大きくはいた息が予想以上に熱くて、公平は首筋が火傷しそうな錯覚に陥った。

お互いに興奮は高まるばかりで、公平の手をソコに押し付けたままの京介の体が小さく揺れている。


公平、触って


子供が甘えるような声が聞こえて、言われなくてもするつもりだった公平は返事をしないで京介の前に手をかけてジッパーを下ろした。


つうか、触る前からガチガチじゃねーか。まだキスだけだろ。

だって公平の味がしたから堪んなくなった。

な、何言ってんだよ!俺に味なんてあるか。

公平、すげーうまいよ。甘くて溶けそう。


ぼそぼそと会話しながらも公平は手を動かしていると、下着から取り出した京介はすでに先から滴を垂らしていてこのまま手を滑らせたら水音がしそうだった。
公平は手を止めて、京介と向かい合っていた体を床に伏せると京介の太腿の間に顔を埋めた。
京介がいきなり口でしてくれるのかと期待していると、公平は京介を見上げてジーパンのウエストに指をかけてくいくいと引っ張って脱ぐように促した。

その期待と共にまた中心が熱を帯びるのを感じて京介は公平の動きを目で追う。
しかし公平はそれとは裏腹に何故か下着の上から甘噛みしたり根本を突いたり、それでも刺激にはなって這い上がるような快感が背筋に伝ったがなんともじれったかった。


こうへー…じれってぇよ。直接やって

だめだって、音しないようにやってんだからもうちょっと黙っとけよ


京介はこの生殺しのような状態に母親には悪いと思いつつも、今日のとこは早く出掛けて下さいと心の中で急かした。

公平も我慢できなくなってきたのか、下着のウエスト部分のゴムをちょっと引き下ろしてすっかり上を向いている京介の中心の先をぬるぬると舐め回した。
京介の内腿がひくりと震える。


その時、部屋の外からガタンと大きな音がした後ぱたぱたと足音が聞こえた。二人はハッとしてドアの方を見ると、ドアの隙間から暗い部屋に向こう側の明かりが漏れている。

京介は公平の腕を掴んで引き上げるとベッドに押し倒した。突然のことに息をつめた公平は京介の肩を押し返したが、それほど意味はなくそのまま京介の体がのしかかってくる。


京介!

しー、もう出てくから。俺ちょっと我慢の限界なんだけど。


言いながら京介は公平のズボンに手をかけて下着ごと下ろした。

いや、でもまだ出てってないんだろ!と焦って京介の手を止めようとしたら


「京介ー、行ってくるね」

母親の声がしてドキッとした。
それでも手の動きを止めない京介の神経を疑ってしまいそうだ。

「行ってらっしゃい。気をつけてな」
「うん、ありがと。戸締まりはちゃんとしといてね」
「分かってるって」


日常とは少し離れたこの部屋から日常の会話が交わされるとなんとも妙な気持ちがした。

すぐに玄関のドアが閉まる音がして公平は一気に緊張の糸が切れた。大きく息をつくと真っ先に京介の頭を殴る。


「イッテェ!何すんだよ!」
「黙れ!そりゃこっちのセリフだ。がっつきすぎなんだよ」
「でもイケナイコトしてるみたいでいつもより興奮したろ?」


それを言われたら完全には否定できなくて先の文句が出てこなかった。

「ほら、公平だってガチガチ」


公平の中心を握って手を滑らせるととろけるような声が漏れて京介の耳に甘く纏わり付いた。

「とりあえず早く突っ込みたいんだけどいい?」
「言うな、バカ」









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