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□唇に潜めたネイビーブルー
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初めての時はそりゃあ散々だった。

セックスなんて色っぽいもんはカケラもなくて、慣らすのに必死になっていた気がする。
公平の顔は涙なのか何なのかぐしゃぐしゃになって、慣らすのに時間がかかって公平の
中を探っていた俺の指は攣って一時中断した。

公平はもちろん辛そうだったし、人に晒すことのないトコを足を開いて舐めるように見られるわけだからとにかく恥ずかしそうにして(俺がこれをやれと言われたら堪えられるかちょっと分からない)それを隠すために暴言をはかれ、言い合いになって手も出された。

それでも、そんなにまでなって体を開いてくれている公平に俺は嬉しくてしょうがなかった。

突っ込むまでには何回かかかったけど、やられっぱなしは性に合わないのか公平はその間
に口と手ですることも覚えて、回数を重ねるごとに俺もぐずぐずにされるようになっていった。

始めのうちがあんなに辛そうだったから公平が嫌にならないかちょっと心配だったけど、それについて聞いてみたら「京介が好きだからできるに決まってんだろ。そうじゃなかったら最初っからやってねー」と、あっさり言われて、俺はその一言で完全に骨抜きにされたのだった。



気持ち良いことを覚えてからは公平から誘うことも少なくない積極さで、それが直接言うんじゃなくて甘えてくるようにするのが可愛くてしょうがない。
まあ口で言うのが恥ずかしいからなんだろうけど、態度で誘われるほうが煽られるのを分かっててやっていたら公平はたいした小悪魔だ。



「京介?何にやけてんだよ、それ面白ぇーの?」

そして今ちょうど、そのように甘えている公平は思い出し笑いをした俺を訝しむように言った。

俺がベッドの上で漫画を読んでいたら、その下にいた公平は何も言わずにのそのそとベッドに上がって顔を俺の腹に寄せるようにしてゴロンと寝転んだ。
そこから俺の顔を覗いて笑っているのを見られたのだ。
漫画をぱっと取られて、公平はパラパラとページを繰っていたがその内容がさほど面白くないことが分かると床に放った。

「なんで笑ってたんだよ」
「いやー、初めてやった時の事思い出して、ありゃ酷かったと思ってさ」

それを言ったら公平は怒っているのか困っているのか、複雑な表情をしてまた俺の腹に顔を埋めた。

「そのことはもう忘れろ」
「いいだろ、あん時の公平可愛かったなー。鬼みたいな公平しか知らない奴らに見せたら別人だと思うぜ」
「…悪趣味なこと言うんじゃねーよ」
「じゃあお前が今やってることはいい趣味なのかよ」


話しながら、公平は俺のTシャツの裾を捲くり上げるてあぐあぐと腹を甘噛みしていた。
残念ながら俺の腹に肉はついてないので口で掴むことは出来なくて、唇が小さく腹を擦る感触がくすぐったかった。公平の髪に指を差し入れて頭を撫でてやると、俺の腰に抱き着いてくる。

甘えているのに気付かないフリをしてそのままにしてみると公平は起き上がってキスを寄越した。
ちゅって音をたてて、舌で唇の間をくすぐって、すげーねだってるって感じのキスがたまんなく可愛い。


心臓だかムスコだかあっちもこっちもむずむずしてきて、公平の肩を押してベッド横の壁に押し付けて深いキスを返した。

「いっつも誘い方が可愛すぎんだよ」

鼻先が触れる距離でそう言ったら公平は口の両端を同じように上げて笑った。

「言うより甘えられた方が好きだろ」

それにはしばし声が出なくて、呆気に取られていたら公平はその笑顔のまま俺の首筋を吸った。
跡がつくだろうその強さにはっとしてようやく意識を戻す。


あぁ、もう公平は小悪魔決定だ。
俺はちょっと甘くみていたようで、始めのうちは本当に恥ずかしそうにしていたのに、一体いつから公平の罠にはまっていたんだろう。
悔しくて、今日は手加減してやらねーぞ、と言ったら嬉しそうに笑われた。

















end
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