噂の貞子さん

□07
1ページ/1ページ




























部活も終わり俺はいつものように自主練に励むべくいつもの場所へ向かおうと思った


しかし


「あの花壇な!流川さんが手入れしとるんよ!!」


お昼休みの謙也のこの一言を思い出し自然と足はそこへ向かっていた


ほんまにおるんやろか


あんな誰も手入れしなくなった花壇に


そう思うとった


校舎の角を曲がるとそこは見慣れた雑草だらけの花壇ではなく綺麗に咲き誇った花で満開だった



「ふぅ。」


そこには制服姿で花壇の手入れをしている流川さんの姿があった



「あれ?…白石…くん?」


俺の存在に気づいたのか流川さんが俺のほうに顔を向けた


「……っ!!」


ばちっと目があった流川さんはいつものように前髪を下ろしているわけでなく


少し大きめの髪留めで前髪を上に上げていた


黒く綺麗な髪の毛が彼女の白い肌をよりいっそう綺麗に見せた


あかんでこれは…これが噂の貞子さんの素顔っちゅーもんなん?


前も思ったけどほんま綺麗な顔しとる


目が合った今俺は彼女から目をそらすことができずにいた


「白石くん?」


「あ、お、おん。」


再び名前を呼ばれ俺は我に返った


「少し足音がしたから忍足くんだと思ったんですが…。」


「謙也?なんや謙也のこと待っとったん?」


少しだけ胸が痛んだ


「一緒に帰ろうといわれたもので…。」


「謙也やったら今顧問のオサムちゃんと話しとるで。少ししたら来るやろ。」


「そうですか!」


なんやいつのまに一緒に帰るくらい仲良うなったんやろ


通りで謙也が今日教室でも部活でもそわそわしとったんやな


「白石くんはこれからまた練習ですか?」


「ん?せやでー。」


手に握られたラケットに視線を移した流川さんが言った


「こんな時間からまた練習なんて…すごいですね!!だからあんな素敵なテニスができるんですね!」


「え、なんや流川さん見とったん?」


「少しだけ。私、白石くんのテニスすごく好きです。努力が目に見えるテニスじゃないですか!!」


俺は今どんな表情をしている


「あ、あああっ!!で、出すぎたこと言いましたね!!ごごごごめんなさい!!」


「いや、かまへんよ。ただそんなこと言われたの初めてやったから。」


聖書(バイブル)、完璧


周りからそう言われとった


でも実際は違うんやで


才能なんかやない、こうして毎日努力しとったからや


その努力を認めてほしかった


せやからまだ知り合って間もない彼女に自分のほしかった言葉を言われて驚きつつその反面


嬉しかった


「流川さん、名前で呼んでもええかな?」


「え、あ、ど、どうぞ!!」


「おおきにな、貞子。」


「いえ!!」


堪忍な謙也


お前の恋応援しよう思ったけど駄目や


「あ、流川さーんっ!!と、白石やん!!!」


「俺はついでか謙也ー!!」


こんなにも彼女の笑顔にときめいとる俺がおるんや




























(って流川さんままま前髪上げとる!!)
(気づくの遅いで謙也。)
(ああああああああああっ!!お見苦しい顔をお見せしてすみませんでした!!!)
((いや、綺麗な顔やて。))
((見とれたなんて言えへんな。))






























親友の思い人

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ