噂の貞子さん

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放課後


部活を終えた俺はそのまま帰宅しようと校門へ脚を運ばせていた


「ん?」


時間はもう7時を過ぎていた


部活生でない一般生徒はもう帰宅していないものだと思っとった


あまり日のあたりのよくない校舎の片隅


俺の記憶が正しければそこには枯れた花壇があったはずだった


しかしもうそれは古い記憶のようや


花壇には綺麗に彩られた花が満開に咲いていた


そしてそこには


「流川…さん?」


「…えー、あー…忍足…君?」


下を向いて作業をしていた彼女は名前を呼ばれ勢いよく顔をあげた


「これ、一人でやったん?」


「あ、はい!!花とか…好きなものでして。」


えへへっと笑ってる彼女を見ると噂話なんてほんまあてにならんなと思う


確かに暗そうに見えるかもしれへんけど


「忍足君は部活帰りですか?」


「おん。」


こうして普通に喋ってると明るい子やと思う



「お疲れ様です!!すごいですね、こんな遅くまで練習だなんて!!」


尊敬


まさにそんなまなざしのようやった


「帰り、大丈夫なん?」


7時といえどもう暗い


女の子一人で帰るには少し危険や思った


「親とか心配しないん?」


「ああ、私一人暮らしなので!!」


心配は無用です!!


効果音にキラーンッと着きそうなほどの返答


しかし俺が言いたいのはそんなことやなかったんやけど


なんやよう見ると綺麗な顔しと…


って俺はなにを考えとるんやアホッ!!


こ、こないな時間に女の子ひとりで帰らしてええんやろか…


どうする謙也!!


「る、流川さん?もう暗いし、送っていくわ。」


誘っそてもうたあああああっ!!


そしてワンテンポ遅れて


「ええええええええっ!!そそそそんな忍足君の手を煩わせることは私にはできません!!」


ものすごい勢いで断られた


え、あ、あかん!!


へこむ!!


「い、いや、こんな時間に女の子一人で帰るなんて危ないやん。」


「大丈夫ですよー。いつものことなんで!!」


あかんやん!!


「こういうときは素直に行為を受け取るもんっちゅー話や!!」


「な、なるほど…。じゃあ…お言葉に甘えます。あ、ちょっと待ってくださいね!!」


「ん?おん。」


「これ、今日のデザートのつもりで作ったんですが食べなかったので。」


流川さんは鞄をごそごそと漁り取り出したのは小さな弁当箱


「ええの?」


「はい。送ってくれるお礼です!!」


まだ学校すら出てへんけどな


「おおきに!!」


中に入っていたのは綺麗に焼かれたクッキーだった




















(あ、うまい…)
(忍足君…いい人!!)










帰宅とクッキー

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