C R A P



※もし宜しければ一言コメント下さい今後の励みになります(・∀・)イェァ♪



「次の方ー」

『は…はい』


気分が悪い。
視界が歪んで、フラフラする。


「…どうぞ」

『失礼します』

「それで、今日はどうされました…か?」



何、今の間。



『あ…』



目が合った。

少しだけ、
熱が上がったような気がする。


****微熱、37度。



「…風邪、みたいですね」



やっぱり。

朝から何となく調子が悪い。
喉が痛くて、
身体が熱くて、
フラフラして、
極めつけに全身が痛い。



「ちゃんと食事取ってますか?」



そう言えば、最近忙しくてまともな食事をしていない。



「睡眠は?」



んー…

基本的に不規則な私の睡眠時間。



「お仕事は何を?」



仕事は、IT関係。
大きなプロジェクト抱えてて、最近大変なんですよね。



「次のお休みは?」



今週は、仕事でいっぱいなんですよねー…あっ、でも、来週の週末なら休み取れるかも。



「…なら、休みの日は何を?」



寝てます。



「…恋人は?」



居ませんよ。
居たら、風邪なんて引いてません。



「そうですよねー…」



って、あれ?



『私、声に出してました?』

「えぇ、全部」



クスクスと笑う先生を見て、何だかさらに体温が上がった気がする。



『何か…すみません』

「いえ、いいですよ」



お優しいんですね、先生。



「これで問診は終わりです。恐らく風邪だと思いますので、お薬出しておきますね」

『はい、お願いします』



スラリと伸びた細い指先が、軽快に文字を綴る。

カサリと紙が擦れる音を聞きながら、朦朧とした意識の中で「先生カッコイイなー」なんて、考えてみたり。



甘栗色の柔らかそうな髪とか
優しそうな紫の瞳とか

私も先生に問診してみようかな、なんて。



「…いいですよ」



お…
じゃあ、遠慮なく。



「どうぞ」



…じゃあ、先生。
お名前は?



「キラです。キラ・ヤマト」



キラ先生ですか。
素敵なお名前ですね。



「ありがとうございます」



じゃあ、次…
キラ先生はおいくつですか?



「26ですよ」



若いんですね!!
お医者様だから、もうちょっと上かと思ってましたよ。



「失礼ですね。僕は若いけど、天才なんです」



わぉ。
先生って、実は腹黒ですか?



「…そんな事言うと、襲いますよ?」



や、そんな事をサラリと言わないで下さい。そして、その笑顔も止めて下さい。



「貴女がそうさせるんです」



あら。積極的。
先生は女性に困らないですね。



「何故ですか?」



だって、口が巧いじゃない。



「貴女にだけ、ですよ」



本当ですか?
信じちゃいますよ?



「是非」



うわぁ…ストレートなんですね。



「嫌ですか?」



まさか。



「良かった。なら、来週の土曜日、午前10時にお迎えに上がります」



…私の家に、ですか?



「貴女意外に誰がいるんですか?」



ですよね。



「はい」



あれ?



『………』

「どうしました?」

『あのっ…いえ…』

「問診は終わりですか?」

『!!』

「クスクス…可愛いですね」

『あのっ…私、全部?』

「はい、口に出してましたよ」



…………なにぃっ!?



「何て顔してるんですか。ほら、行きますよ?」

『や…行くって、どこへ?』

「もちろん、貴女の家です」

『何で!?』

「何でって、看病しに」

『いやいや…』

「ほら、早くしないと置いて行きますよ」

『だから、何でですか!』

「…一目惚れ、じゃ通用しませんか?」

『!』



たまには、風邪も良いかもしれない。

今日の私、微熱37度。

.


もう少し、熱上げましょうか?



[TOPへ]
[カスタマイズ]

©フォレストページ