shinichi*ai

□milk tea
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「今日も連絡なし・・・・ね。」
柄にもないと思いつつも哀は携帯電話を見つめる。

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珍しく新一と本気で喧嘩をしたのは一昨日のこと。
きっかけはいつも通りの他愛のない口論だったのに。
なんであんな事を言ってしまったんだろう。
そう、彼の言葉にカチンときてしまったのよ。

『宮野志保に戻る勇気もないヤツに・・・』

その前後は覚えていない。あまりに頭に来た。私は灰原哀であることを選んだのよ。

『貴方に私の気持ちなんて一生わからないわ!!結局貴方と私じゃ解り合うことなんて最初から無理だったんだわ!!』

しまった、と思った。
彼は私を理解しようとしてくれている。否、誰よりも理解してくれている。それなのに・・・

すぐに『御免なさい』と言えばよかった。なのにどうして素直に言えないんだろう。
こんな口下手で不器用な私を彼は精一杯愛してくれている。
『ありがとう』と本当はいつも思っているのに・・・それも伝えた事が殆どない。


その直後彼の携帯が鳴った。いつもの警察からの協力要請だ。
『はい・・・はい、そうですか・・・・でもあの今は・・・・・・・わかりました。直ぐに行きます』

「わりぃ哀・・・すぐ戻るから・・・帰ってきたらちゃんと話そう?な?」
どうしても行かなければならない依頼らしい。大方時間制限のある誘拐事件か何かだろう。


「別に。謝らなくて結構。早く仕事に行きなさいよ。」



あれからもう3日。新一は帰ってきていない。
事件を呼んでしまう体質だからそれだけで済まなかったのね。
それにしても、こんなに連絡がなかったのは初めて。
どんなに忙しくても必ず家に帰ってきた。
私をひとりにするのは絶対に嫌だ、と言って。
その彼が帰ってこないどころか連絡もとれない。


いつも私が後ろ向きな事を言っても「バカだな」って笑って
たまに励ましてくれて
何も言わなくても「頑張れ」って本気で励ましてくれる。


彼がそうしてくれることに甘えすぎていたのかもしれない。
さすがに・・・・怒らせてしまったわよね・・・。

今連絡があってもきっと『貴方の家なんだからいつ入っても出ても構わないわよ。いちいち連絡なんていらないわ。』なんて言ってしまうだろう。

ほんとは逢いたくて仕方ないのに。
彼がいない間、殆ど眠れていない。
流石に疲れてきたから今日は眠れそうだが・・・・

「夢で逢えたら泣いてしまうかも・・・なんてね」
私らしくない。私らしくないけれど、本当にそんな気がする。
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