短編集

□支えられてたんだな
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「お前ひとり分の命くらい いくらでも代わりはいる」


そう言われたお前の目は

悲しみを帯びているわけでも
苦しみを帯びているわけでもなく、


ただ、肯定の眼差しだけを俺に向けていた。


「はっ。てめぇなんざただのハズレ者でしかねぇ、」


『ん、知ってる。』


「知ってんなら…」


『違うの。知ってるからこそ出来る事ってあるでしょ?』



例えば、なんて

俺の殺気なんか感じてないかのように


きょろきょろと周りを見渡して"ファインダー"としての任務を探している。



『ほら、こうやって触れてみるだけでもいい。』



そう言って俺の手を取って

自らの頬に当てた。



「なっ…!」


『アクマを破壊する苦しみはあなた達エクソシストにしか分からない。』


そして俺の手をガラスを扱うかのように
優しく優しく

でも、力強く包み込んで



『だからこそ、私達がいてあなた達の"精神"からのサポートをする必要があると思うの。』



ねっ?

っと首を傾げて笑う姿に


なんて簡単な事に気づかなかったのかと、

後悔した。




支えられてたんだな
(気づかないうちにこんなにも。)






2007.08.01


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