虚域夕刻

□次善のポジション
1ページ/2ページ




「貴様ら退学だーーーっ!!」



ああ、煩い。

出来るわけ無いだろ俺ら今義務教育中だっての。



「連帯責任で沢田共々即刻退学にすべきだ!!」



なんでだよ。

アンタほんとにエリート?

授業もややこしいし纏め方なってないし。

っつか爺、たかが一教師に何負けてやがる。

仮にも校長だろしっかりしろよ。


以上、リボーンや獄寺のせいで不機嫌絶好調な俺がお送りしました。










そんなこんなで流されていれば、死ぬ気状態にされ、何故かグラウンドを割る為に地脈を探し当てていた。


なんでも、15年前に埋めたタイムカプセルを探し掘り出すとかで。

でも実際にはそんな物無い。

15年前は例外で埋めなかったらしい。

つまり今やってる事は無駄という事で。

………はぁ、めんどい。

こんな時でもちゃんと表層は取り繕っている俺、うっわ超偉い。



そんな事を思ってる綱吉はけれど、ちゃんと“ダメツナ”やっている。


今は獄寺のダイナマイトと一緒にグラウンド割ったとこ。

こんなの、忍術使えば一発で大破出来るのに…。


ちなみにその忍術とは、富士山を一瞬で塵と化せる大技である。

しかしそれは綱吉達にすればまだ初級らしい。

恐るべし元最強暗部達。



「あ!見付けましたよ十代目!!」



喜色満面の獄寺に、演技しながら近付く。


タイムカプセルの中身は―――



「あれ?」



へぇ、ふぅん、そぉなんだぁ。


深層でニヤリと嗤い、すぐさま反応した獄寺に“中身”を手渡す。

“中身”を見た獄寺の目が険しくなるのを見て、



「貴様らグラウンドで何をやっているかーーー!!!」



ナイスタイミング!


馬鹿の一つ覚えのようにまた退学と言おうとした根津に、獄寺が“中身”を突き付けた。



「15年前のカプセルは出てこなかったが、代わりに40年前のカプセルが出てきたぜ」



段々根津の顔色が青くなっていく。

それを綱吉は、もちろん演技しながら深層では実に愉しげに見ていた。


人間誰しも、嫌悪する相手が絶望に陥るのを見るのは楽しいし嬉しいものなのである。



「なんでエリートコースのお前のテストが平凡なうちの中学のタイムカプセルに入ってるんだ?しかもこの点数、んだコリャ!?」



タイムカプセルの“中身”。

それは、全て5点以下のテスト用紙だった。



「そっ、それは………!!」



根津銅八郎(55)
学歴詐称で解任。


退学にはならずに済んだ。

あの人を見れる2番目のポジションを、手放すのは惜しかったから結果オーライ。

1番のポジションはあの人の獲物である不良に成る事だが、流石にあの絶対零度の双眸を向けられたくない。

向けられたら最後、立ち直れない気がするから。







ちなみに。



「この学校のテストってちょろいっスね」



獄寺、お前勉強できたんだ。

どうでもいいがまぁ一応新たな発見だった。





 次善のポジション
(最善より次善の方が良い)(そんな時だって有るだろう?)
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ