虚域夕刻

□悲劇の主人公
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「あー、球技大会も無事終わって気が緩みっぱなしなお前ら。このクラスに転校生だそうだ。入ってくれ」


球技大会のバレーもなんとか終わり、ほっと一息ついていた綱吉。

“ダメツナ”を演じて転校生を見る。


外見、不良。

それに尽きる見た目だ。

顔立ちもよく、煙草は好かないが喧嘩慣れしてそうだ。


「席は一番後ろの・・・」


先生の指示した席へずんずんと大股で向かう。


彼の名は、獄寺隼人。


がん、と綱吉の机を蹴り、気に入らないというように睨みを利かせた。

殺気を向けられるが綱吉から見れば可愛い子供が怒っているようなものだ。

だがダメツナを演じる綱吉は面倒だと思いつつひぃ、と体を縮こまらせた。


嫌な予感がする。

これは、直感だ。


そして見事にその直感はあたることになる。


リボーンが離れたところからそれを見ているのを、綱吉は感じた。





「おい、お前が十代目候補か?」

「っえ?」


放課後、リボーンに呼び出されたかと思えば獄寺出現。

しかもなぜか敵対している位置らしい。

というか、十代目って・・・。


「本当だろうな、こいつを殺せば十代目になれるってのは」

「ああ、本当だぞ」

「リボーン!?俺を十代目にするってのは嘘だったのかよ!」


一応はこういうことを言っておかないとまずいかな、と声を荒げる。

だがリボーンは綱吉の本心も知らずに笑っているだけだ。

そのまま流されて戦闘開始。

脳天に特殊弾―死ぬ気弾を撃たれ、間一髪でボムの火を消した綱吉。


「こんな無茶させやがって・・・」


普通の人間なら死んでるだろ、と誰もいなくなった穴だらけの地面で転がって綱吉は呟いた。
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