虚域夕刻
□観察対象
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「沢田綱吉・・・1-Aの生徒で通称“ダメツナ”・・・何をやっても駄目、ねぇ」
資料を見ながら雲雀はぶつぶつと呟く。
「委員長、彼がどうかされたんですか?」
「いや、そういうわけじゃないけど。
草壁、もう出て行っていいよ」
「はぁ・・・」
いつもよりなぜか機嫌がよさそうな雲雀。
不可解に思いつつも、草壁と呼ばれた男(ケツ顎で古風なリーゼントの見るからに不良だが風紀委副員長)は出て行った。
「沢田、綱吉・・・」
懐かしい気がするのは気のせい?
「委員長、剣道部の部長から昼休みに試合の許可申請を申し出ています」
「体育館で?」
「はい、そうです」
「誰と試合するの?剣道部の副キャプテン?」
「いえ、それが・・・沢田綱吉だそうで」
「ふぅん・・・いいんじゃない?たまには」
「は?・・・わ、わかりました。
では部長の持田にそう言い伝えておきます」
「さっさと出て行ってよ」
「はいっ」
慌てて風紀委員の一人が出て行く。
だが、それは草壁ではなく同じリーゼントだが権力の低い下っ端。
「さて、何が起こるのかな・・・」