春望(盛唐時代)



杜甫


字は子美。李白と共に中国を代表する詩人。安史の乱の頃の人物であり、その生涯は戦乱にあった。そのため、彼の詩も、悲しい憂国の詩が多い。

春望
国破れて山河在り
城春にして草木深し
時に感じて花にも涙を濺ぎ
別れを恨んで鳥にも心を驚かす
烽火三月に連なり
家書万金に低る
白頭掻けば更に短く
渾て簪に勝えざらんと欲す

春望
国破山河在
城春草木深
感時花濺涙
恨別鳥驚心
烽火連三月
家書低万金
白頭掻更短
渾欲不勝簪

この詩を作った頃、唐の首都長安は安史の乱のため、荒廃していました。そのことを憂いて杜甫が書いた詩です。この詩は日本でも、とても有名です。


登岳陽楼(盛唐時代)

岳陽楼に登る
昔聞く洞庭の水
今上る岳陽楼
呉楚東南に裂け
乾坤日夜浮かぶ
親朋一字だになく
老病孤舟あるのみ
戎馬関山の北
軒に憑れば涕泗流る

登岳陽楼
昔聞洞庭水
今上岳陽楼
呉楚東南裂
乾坤日夜浮
親朋無一字
老病有孤舟
戎馬関山北
憑軒涕泗流

杜甫晩年の詩。杜甫は北の故郷に帰ろうとしましたが、舟の中で病死しました。病死の前に岳陽楼に遊んだ時の詩です。少しかたぐるしい詩ですが、戦乱を生きてきた杜甫の人生があらわれています。

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