ゲゲゲ妖怪千物語

□第六章.くびれ鬼
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「アマビエ、」
 
 
「鬼太郎にレナ?
 どうしたんだい、二人揃ってさ」
 
 
「今日のお仕事、AYAちゃんが来る時に行ってもいいかしら?
 ちょっと気になる事があってね」
 
 
「いいけど・・・」
 
 
「というワケできっちゃん、夜の8時に呼びに行くからね」
 
 
「分かった」
 
 
 
頷いた鬼太郎を見、レナはニコリと笑った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「こんばんはー♪」
 
 
「こんばんは、」
 
 
 
そう言ってアマビエの店へと入る二人。
 
 
丁度ティータイムだったようで、
 
 
AYAとアマビエは談笑中だった。
 
 
 
「あっ、あなたは・・・」
 
 
「ふふ、お久し振りね、AYAちゃんv」
 
 
 
ニコリと笑って言うと、
 
 
AYAは驚いたようにレナを見た。
 
 
 
「知ってたんですか!?」
 
 
「まぁね♪
 今日はいつもお疲れのAYAちゃんにプレゼントを持ってきたの」
 
 
「プレゼント?」
 
 
 
疑問符を浮かべるAYAに、レナはニコリと笑って目を閉じた。
 
 
ブツブツと何かを呟くと、一枚の紙が浮かび上がる。
 
 
 
「な、何・・・?」
 
 
「!
 レナの魔除けの術だよ!
 凄く貴重なのさ!」
 
 
「レナは陰陽師の娘でもあるから
 よく効きますよ」
 
 
「そ、そうなんですか?」
 
 
「はい、終わったわよ♪」
 
 
 
紙が消え、何事もなかったかのようにニコリと笑うレナ。
 
 
ありがとうございます、とAYAも微笑んだ。
 
 
 
「あの、お名前を教えてもらっても?」
 
 
「私たちの?」
 
 
「はい、」
 
 
「私は竜堂 レナ。
 こっちは、」
 
 
「鬼太郎です」
 
 
 
二人とも、あえて普通に名乗った。
 
 
ここで警戒されては元も子もないからだ。
 
 
そして、話しているうちに―――。
 
 
AYAの様子がおかしくなり始めた。
 
 
 
「何のために歌っているのか分からなくて・・・
 笑う事さえ辛くなって・・・
 だから、緑もっ・・・」
 
 
「・・・・・・」
 
 
「いつも笑顔で歌って、みんなを幸せにするんだって。
 この仕事、大好きでしてるのに、」
 
 
「AYAちゃん、静かに」
 
 
「え?」
 
 
「鬼太郎」
 
 
「妖気が強くなってる・・・
 そこに居るのは誰だ!
 出て来い!!」
 
 
 
鬼太郎が叫ぶと、くびれ鬼が姿を現した。
 
 
小さなテントのため、アマビエの店はすぐに潰れた。
 
 
 
「き、きゃぁあッ!!」
 
 
「アマビエ、AYAちゃんを任せるわ!!」
 
 
「分かったよ!」
 
 
【もう少しだったのに!!】
 
 
「そうはさせるか!
 髪の毛バリ!!」
 
 
 
シュシュシュ、と鬼太郎の毛バリがくびれ鬼に向かって飛ぶ。
 
 
が―――。
 
 
 
【効かん!!】
 
 
 
息を吐き、毛バリを薙ぎ払った。
 
 
そして―――、アマビエとAYAを連れて
 
 
死の世界へと逃げ込んでしまった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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