ゲゲゲ妖怪千物語

□第五章.妖怪アイドル!?
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ガサ、と手紙を開く。
 
 
蒼坊主という青年妖怪からの手紙で、
 
 
よく迷子になる困った妖怪だった。
 
 
ちなみに手紙の内容は―――。
 
 
“よう、鬼太郎。
 みんな元気でやってるか?
 青森に来るはずだったがどうも異様に暑い。
 どうやらまた道を間違ったようだ”
 
 
 
「どう間違えたら熊本に・・・ι」
 
 
「兄さんも相変わらずね・・・ι」
 
 
 
“俺はここで人間の子供たちに危害を加えているという
 妖怪のうわさを聞き海岸に向かった。
 するとだ”
 
 
 
「ビンタ、ビンタ、ビンタ!!
 これだから、これだから最近の子供はっ!!
 いいからアタイの絵をお描きよ!!」
 
 
「嫌だよ」
 
 
 
アマビエは少し考えると、ピコンと思いついたように言った。
 
 
 
「予言するよ、予言。
 お前たちの明日の算数のテストは・・・」
 
 
 
アマビエの前に立っている三人のうち、
 
 
左に立っている帽子を被った子供を差し、
 
 
 
「24点、」
 
 
 
真ん中の子供を差し、
 
 
 
「38点、」
 
 
 
最後に右の子供を差し、
 
 
 
「16点だよ!」
 
 
 
と言った。
 
 
 
「何だよそのリアルな数字!」
 
 
「あっち行けよ!」
 
 
「ムカッ」

 
 
 
“危害を加えてるっちゃ加えてるな・・・
 俺はとりあえずアマビエを捕まえて説得した”
 
 
 
「はぁ・・・
 昔はねぇ、殿様やお姫様が予言を聞きに来たり、
 健康祈願のためにアタイを絵に描いたりしてくれたもんだよ・・・
 ・・・最近はめっきり出番がないんだよ・・・
 夢のない世の中だよ、ったく・・・」
 
 
「じゃあ、海の中で大人しくしてな」
 
 
「でも、みんなにちやほやされてないと・・・
 何だか、気が落ち着かないんだよ・・・」
 
 
「性質の悪い女優かよ、オメーι」

 
 
 
“こいつはほっとくと危ない気がしたので、
 とりあえず、前に貰った妖怪横町の地図を写させた”
 
 
 
「“横町のみんなで、上手く今の世の中のルールってヤツを
  言い聞かせてやってくれ”
 だってさ」
 
 
「それをどう聞き間違えたら
 “横町のアイドル”って話になるのよ?ι」
 
 
「まぁまぁι」
 
 
 
呆れるネコ娘を宥め、レナは溜め息を吐いた。
 
 
 
「とにかく、蒼兄さんが何も変わってないって事がよく分かったわ・・・ι」
 
 
「そうそう。
 この横町には“ゲゲゲの鬼太郎”ってのと、
 “竜堂 レナ”っていう
 何かスターっぽい妖怪が居るって聞いたよ!」
 
 
 
ギクリ、と鬼太郎とレナの動きが挙動不審になる。
 
 
 
「ずばり、狙いはその人さ!
 絶対アタイの虜にさせるよ!」
 
 
 
その場の鬼太郎とレナを知っている人物は、
 
 
二人を見る、が―――。
 
 
 
「ぬ、ぬらりひょんの動きが、気になるなぁ・・・ι」
 
 
「あぁ、キタ。
 久し振りに散歩行こうよ・・・ι」
 
 
「そうだね、リンι」
 
 
「「「(逃げた・・・)」」」
 
 
 
二人は逃げてしまった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「アマビエだか甘エビだか知らないけど・・・
 問題児だね、ありゃ・・・」
 
 
「そうか・・・、そんなに凄いのか・・・」
 
 
「ま、さすがの俺様もビビビっとこねぇな・・・
 利用価値ゼロ。
 ロクな事言いやがらねぇんだもんよ」
 
 
「ますます横町に戻りたくないなぁ・・・ι」
 
 
「仕方ないわよ・・・
 とりあえず、私は狐になりつつ戻るけど・・・
 キタはどうする?」
 
 
 
路地裏でねずみ男が偵察してきた様子を聞いていた。
 
 
レナはそんなアマビエの様子に呆れつつも鬼太郎に聞く。
 
 
 
「戻りたいのは山々なんだけど・・・」
 
 
「きっと寂しかったんじゃろう」
 
 
「「寂しい?」」
 
 
「レナにだってあるじゃろ。
 お前の両親、レンメイ様と清吾さんは
 双子の姉弟を残してこの世を去った。
 今はルナがおるが、それまでは寂しかったじゃろう」
 
 
「まぁ・・・」
 
 
「それと同じじゃよ。
 ほれ、鬼太郎もじゃ。
 レナが居ない間、寂しかったじゃろ」
 
 
「Σえっ!?///」
 
 
「・・・そうなの?」
 
 
「う・・・、うん・・・」
 
 
「ふふ、ごめんね」
 
 
 
鬼太郎の頭を撫でつつ言う、と―――。
 
 
  ピンッ
 
 
 
「妖気!?」
 
 
「この大きさは異常だわ!!」
 
 
「「えっ?」」
 
 
 
鬼太郎とレナは急いで妖気を感じた方―――横町へと向かった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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