ゲゲゲ妖怪千物語

□第三章.雷獣
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「私が行くわ。
 きっちゃん、その間にいかずち岩を」
 
 
「分かった」
 
 
「れ、レナさん!?」
 
 
「レナちゃん!」
 
 
「サネルは鬼太郎を手伝って!
 本来の姿ならあの岩をどうにか出来るかもしれないわ!」
 
 
「で、でもっ・・・!」
 
 
「私を信じなさい、ね?」
 
 
 
ニコリと笑って言うレナに、数分間を置いて頷くサネル。
 
 
 
「姫様のためなら、私も何とかしなきゃ!
 鬼太郎さん!」
 
 
「うん。
 行こう、みんな!
 レナが雷獣の気を引いている間に!」
 
 
 
鬼太郎が叫ぶと、渋っていた子供たちやネコ娘も頷いた。
 
 
 
「封印解除、」
 
 
 
呟くと同時に外れたチョーカーで髪を纏めると、
 
 
レナは近くの木から崖の上へと登った。
 
 
その早技に子供たちは驚くが、
 
 
目的を思い出しいかずち岩へと駆け寄った。
 
 
 
「鬼さんこちら、」
 
 
 
柏手を打ち、雷獣を呼ぶ。
 
 
 
「手のなる方へ、」
 
 
【・・・・・・?】
 
 
 
雷獣の注意がレナへと注ぐ。
 
 
レナはと言えば、優雅に手を叩いているだけだった。
 
 
 
「こっちよ、雷獣。
 あなたの眠りを妨げてるのはこの私」
 
 
【お前か・・・・・・】
 
 
 
唸り声のようなものが響く。
 
 
レナ以外には唸り声のようにしか聞こえないそれが、
 
 
レナには言葉に聞こえていた。
 
 
 
「えぇ。
 いらっしゃい。
 私を倒したいでしょう?」
 
 
【俺の眠りを妨げる者は全て排除する・・・】
 
 
「ふふ・・・そうこなくっちゃ」
 
 
 
ニコリと笑い、レナは優雅に移動する。
 
 
ゆっくりと、ゆっくりと。
 
 
踊るように回るように、
 
 
雷獣を誘導していく。
 
 
そして―――。
 
 
  ガコッ
 
 
 
「「「動いたッ!!」」」
 
 
「終わったようね」
 
 
【俺は・・・・・・】
 
 
「夢を見ていたのよ、雷獣。
 とても悪い夢を。
 でももう大丈夫よ。
 いかずち岩の上でゆっくり休みなさい?
 休めなかったら私に言ってくれればいいわ。
 妖界へと送ってあげるから」
 
 
【あぁ・・・・・・】
 
 
 
大人しくなった雷獣は、ゆっくりと消えて行った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「お疲れ様ーっ♪」
 
 
「「お疲れ様ーっ♪」じゃないよもう!!
 こっちがどれだけ大変だったと・・・」
 
 
「でもきっちゃん。
 私が雷獣を止めてたからよかったものの、
 きっちゃんが止める事になってたら
 きっとかなりの時間がかかったわよ?」
 
 
「でもレナなら一瞬じゃないか!」
 
 
「あら。
 私、人は浮かせられても
 物を移動させるなんて芸当は出来ないわよ」
 
 
「似たようなものだと思うんだけど・・・ι」
 
 
 
レナと鬼太郎の言い争い、というか鬼太郎の一方的な言葉攻めに、
 
 
ネコ娘が突っ込む。
 
 
サネルと子供たちはそれに苦笑していた。
 
 
 
「分かった分かった、今度からきっちゃんに任せるからι」
 
 
「絶対だからね?
 後、その時も無茶しないように!」
 
 
「(それはきっちゃんもでしょーが・・・ι)
 はいはいι
 分かったから帰るわよ、きっちゃんι」
 
 
「誤魔化さないでよ、レナ!」
 
 
「そこのバカップルもう分かったから帰りましょ!!」
 
 
 
痺れを切らし、ネコ娘が叫ぶ。
 
 
言い争っていた二人は顔を見合わせ苦笑すると、
 
 
子供たちに謝り、カラスたちに乗って帰ったのだった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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