ゲゲゲ妖怪千物語

□第一章.半妖
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「さてと・・・
 日本も久し振りねー」
 
 
 
そう言いつつ、少女は屋根の上を移動する。
 
 
商店街に着くと、見慣れた影を見つけた。
 
 
 
「あら?」
 
 
 
少女―――竜堂 レナは、漸く地面に降りる。
 
 
と、やはり見慣れた旧友の姿。
 
 
 
「きっちゃん!」
 
 
「あ、あぁ、レナ」
 
 
 
中に入り、財布を持ったまま固まっている旧友の名を呼ぶ。
 
 
どうやら本を買おうとしていたが、お金が足りないらしい。
 
 
 
「うーん・・・
 あ、じゃあこれも一緒にお願いします」
 
 
「ぇえ!?
 ちょ、レナ!?」
 
 
 
近くにあった女性誌を手に取りレジへ置くと、
 
 
そのまま二つ分の代金を出した。
 
 
 
「ありがとうございましたー」
 
 
 
そう言った男性にニコリと笑って、
 
 
レナは旧友―――鬼太郎の手を取り店を出た。
 
 
 
「助かったよ、レナ」
 
 
「いえいえv
 私もこの本欲しかったからね」
 
 
 
そう言ってレナは女性誌を鬼太郎に見せる。
 
 
女性誌特有のニュースが書かれ、鬼太郎は苦笑した。
 
 
 
「お使いでしょ?
 もう終わったの?」
 
 
「あぁ、うん。
 買う物は買ったし、
 父さんの好きなスープの材料も・・・」
 
 
 
そう言って籠の中身とメモを照らし合わせる。
 
 
 
「うん、もう用事はないよ」
 
 
「よかった!
 じゃあ、きっちゃんの家に行ってもいい?」
 
 
「いいよ」
 
 
 
やった、と笑って言うレナに、鬼太郎も笑みを浮かべる。
 
 
と、横町に通じる道まで来たところで、
 
 
おばあさん―――砂かけ婆が走ってきた。
 
 
 
「た、大変じゃ鬼太郎〜!」
 
 
「おばば?」
 
 
「そんなに慌ててどうしたの?」
 
 
「あぁ、レナも一緒じゃったか!
 おかえり!
 って、それどころではない!
 あいつが・・・ねずみ男がやってきおった!ι」
 
 
「ねずみ男が?」
 
 
「ネズがどうしたって?」
 
 
「いやぁ、それが・・・」
 
 
 
しどろもどろに言う砂かけ婆に、
 
 
鬼太郎とレナは頷いて妖怪横町まで走って行く。
 
 
と、小奇麗な服を身に纏い、
 
 
黄色い車を従えた一人の青年―――ねずみ男が目に付いた。
 
 
 
「ぃよっ!
 我が友鬼太郎ちゃん!
 それに美人のお嬢さん!」
 
 
「その呼び方、止めてくれる?」
 
 
「ぉおっと、すまねぇ。
 レナ」
 
 
「何だ、その恰好は!?」
 
 
 
鬼太郎が声を上げ、レナは半目でねずみ男を見る。
 
 
 
「このリッチな姿を見て分かんねぇのか?
 勝ち組になったんだよ、俺。
 ゴミ捨て場で見つけた一台のノートパソコンが、
 俺の運命を変えたんだ!」
 
 
 
そう言ってねずみ男は経緯を話しだした。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「根津 三男(ネヅ ミツオ)じゃと?」
 
 
「あぁ、あの“平成の妖怪”とか言われてるバカ男ね・・・」
 
 
「知ってるの、レナ?」
 
 
「ほら、コレよ」
 
 
 
女性誌を開きながら、レナが言った。
 
 
いつの間に読んだのだろうか。
 
 
 
「俺はネットに繋いで根津社長にメールを出した。
 もちろん、自分の売り込みも添えてな!
 そしたら返事が来た!
 んで、会った瞬間に意気投合しちゃったってワケよ!」
 
 
 
そこまでの経緯をすべて聞き終え、
 
 
溜め息を吐くレナ。
 
 
鬼太郎に至っては、呆れた顔をしている。
 
 
 
「行こっか、きっちゃん」
 
 
「そだね、レナ」
 
 
「おいおいおい!!
 待ってくれよ、二人とも!!」
 
 
「何よ。
 魚の目玉が腐っちゃうでしょ」
 
 
「そうだよ、ねずみ男。
 自慢話なら暇な時に聞くから、」
 
 
「いやいや、二人にちょいと相談があってよ」
 
 
「「相談?」」
 
 
 
ねずみ男に踵を返して去ろうとした時、
 
 
かけられた言葉に思わず足を止めたが、
 
 
とりあえず鬼太郎の家へ行く事になった。
 
 
 
 
 
 
 
 第一章.半妖
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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