ゲゲゲ妖怪千物語

□第三章.雷獣
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「よっ、」
 
 
 
フワリとレナが電柱に降り立つと、
 
 
両脇に一匹の猫が降り立つ。
 
 
名前はサネルといい、普通の猫よりかなり大きな化け猫だった。
 
 
 
「・・・・・・スネリには言ったの?」
 
 
「ね、姉さんには内緒で・・・ι」
 
 
「まったく・・・
 でもまぁいいわ。
 私も今用事思い出したの。
 サネル、付き合ってくれるかしら?」
 
 
「は、はい!」
 
 
 
人の姿へと変化したサネルは、
 
 
レナと共にふもとの町へと降り立った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「お種婆さん、何度も説明したろう!
 村の活性化に繋がる大切なプロジェクトなんだ!」
 
 
「小難しい理屈は分からん。
 ワシらに分かるのはこの山には
 大昔から雷獣様が住んでおると言う事じゃ!」
 
 
「そのお婆さんの言う通りよ」
 
 
「「「え?」」」
 
 
 
若い男性と老人たちが話している間にレナが割って入った。
 
 
サネルは不安そうにレナの隣に立っている。
 
 
 
「な、何を言っているんだいお嬢さん。
 危ないから帰りなさい」
 
 
「忠告に来たのよ。
 これ以上工事を続けていかずち岩が少しでも動くと、
 今以上に酷くなるわよ」
 
 
「な、何の事だね?」
 
 
「落雷の事よ。
 雷獣はかなり乱暴者なのよ。
 今、雷が鳴ってるのは雷獣の仕業。
 雨は絶対降らないけれど、雷だけが落ちるの」
 
 
「お嬢さん、どうしてそれを・・・」
 
 
 
驚いたように男性は目を見開いて聞き返した。
 
 
レナは背を向け、呟く。
 
 
 
「忠告はしたわよ。
 これ以上悪化しても私は動かないから」
 
 
 
そう言った後、レナとサネルは姿を消した。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  ドーンッ
 
 
 
「れ、レナちゃん・・・」
 
 
「やめないとは思ってたけど、やっぱりね・・・」
 
 
 
工事現場が一望出来る木の天辺に座っていたレナは呟いた。
 
 
サネルはどうしよう、とあわあわとしている。
 
 
 
「気にする事ないわ。
 私の忠告を聞かなかった罰よ」
 
 
「でも・・・・・・」
 
 
「分かってるわよ。
 子供たちがきっちゃんに願うって言いたいんでしょう?」
 
 
 
レナが聞くと、サネルはコクリと頷いた。
 
 
 
「その時だけ助けてあげるわ。
 例え、彼らが強行しようと子供たちの願いだからね」
 
 
 
そう言ってレナは木に凭れた。
 
 
 
 
 
 
 
 第三章.雷獣
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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