ゲゲゲ妖怪千物語

□第二章.霊界からの着信音
1ページ/2ページ

 
 
 
「あら、ルナじゃない」
 
 
「あ、お姉ちゃん!」
 
 
 
いつも通り町を歩いていると、ルナの姿が見えた。
 
 
ルナ―――竜堂 ルナは、レナの歳の離れた妹であり、
 
 
それと同い年の弟―――タイの双子の姉である。
 
 
ちなみに今は夜だが、彼女らには昼も夜も同じで
 
 
むしろ反対なのである。
 
 
 
「お姉ちゃん、どうかしたの?」
 
 
「何でもないわ。
 ルナは調子どう?」
 
 
「元気だよ!
 さっき、もっけに勉強を教わってたの!」
 
 
「そう。
 もっけは頭がいいからねぇ。
 ちょっとアレだけどι」
 
 
「そ、そうだね・・・ι
 あ、後ね、もう少ししたらスネリと特訓なんだ!」
 
 
「そっか。
 ―――!
 ルナ、実践しない?」
 
 
「え?」
 
 
 
キッと妖気がする方を見据え、ルナに言う。
 
 
頭にハテナを浮かべたままのルナだが、
 
 
レナの不穏な空気を察知して第三の目を開眼させた。
 
 
レナはすでに開眼して、ポニーテールに結んでいる。
 
 
 
「行くわよ!」
 
 
「う、うん!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「あらあら、苦戦してるわねぇ」
 
 
「!
 レナ!!」
 
 
「ナイスタイミング!」
 
 
 
タンッ、と近くの木に立ち、見上げる。
 
 
ルナは危ういながらも踏み止まっている。
 
 
 
「私が防御するから、ルナは九字を切ってくれる?」
 
 
「わ、分かった!
 臨・兵・闘・者・皆・陣・裂・在・前!!」
 
 
 
シールドを張るのと同時にルナは九字を切り、
 
 
妖怪の動きを止める。
 
 
そして、鬼太郎がトドメを差した。
 
 
ガラクタになり、崩れ落ちる朱い妖怪。
 
 
 
「お疲れ様、レナ。
 えっと・・・そちらは?」
 
 
「ルナよ。
 私の妹♪」
 
 
「あ、あのっ・・・
 お姉ちゃん?」
 
 
「ん?」
 
 
「この人は・・・」
 
 
「あぁ、鬼太郎よ。
 幽霊族の末裔。
 で、あっちのリボンの子がネコ娘。
 ネコ族ね。
 こっちのおじいちゃんが子泣き爺、
 おばあちゃんは砂かけ婆。
 で、この大きいのが塗り壁よ」
 
 
「鬼太郎さんにネコ娘さん、
 子泣きのおじいさんに砂かけのおばあさん、
 で、塗り壁さん?
 よ、よろしくお願いしますっ」
 
 
 
ペコリ、と慌てて頭を下げるルナに、
 
 
こちらこそ、とみんなもニコリと笑う。
 
 
と、山積みにされたガラクタの中から ねずみ男が顔を出した。
 
 
 
「あら、ネズ」
 
 
「ありゃりゃ、助けんでいい奴も助けてしまったようじゃの」
 
 
「おいおい、「そんな言い方よくないですっ!」
 
 
 
慌ててルナがねずみ男の前へ出て弁解する。
 
 
そんなルナにレナは苦笑し、まぁまぁ、と宥めた。
 
 
 
「日頃の行いのせいよ、ネズ。
 もう少し真面目に生きたらどう?」
 
 
「ちょちょ、ちょっとレナちゃん?
 今のこの子の必死さ見た?」
 
 
「ルナは知らないからよ。
 普段のアンタをね」
 
 
「?
 お姉ちゃん?」
 
 
「え、お、お姉ちゃん?」
 
 
「私の妹よ」
 
 
「い、妹ぉ!?
 じゃ、じゃあこの前のルナって・・・」
 
 
「この子の事」
 
 
「竜堂 ルナですっ」
 
 
 
名前を言うルナに、レナはよしよしと頭を撫でる。
 
 
あ、と声を上げ、腕時計を見た。
 
 
 
「もうこんな時間ね。
 ルナ、送ろうか?」
 
 
「あ、ううん。
 大丈夫」
 
 
 
そう言って笑うルナに頷いて手を空に翳す。
 
 
と、光る鳥が浮き上がった。
 
 
 
「これについて行って。
 多分迷わないから」
 
 
「Σ多分!?」
 
 
「あはは、嘘嘘。
 迷わないから安心して。
 念のため、開眼したまま行くといいわ」
 
 
「うん、ありがとう。
 じゃあね、お姉ちゃんっ」
 
 
 
そう言って手を振ったルナは鳥を追って行った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
数日後、夜―――。
 
 
 
「まいどーっ♪
 悪霊相談屋でーっす♪」
 
 
「レナ、ノリがねずみ男になってるよ」
 
 
「やってみたかったのよねー。
 で、あなたが千草さん?」
 
 
「は、はあ・・・」
 
 
 
ふとレナは腕時計を見、あら、と呟く。
 
 
 
「もうすぐ時間ね。
 上がらせてもらっていいかしら?」
 
 
「え、えぇ・・・
 あなたは?」
 
 
「私はレナ。
 竜堂 レナ。
 こっちは鬼太郎よ」
 
 
「どうも、ゲゲゲの鬼太郎です」
 
 
「えっ・・・」
 
 
 
と、電話が鳴った。
 
 
 
「来たっ」
 
 
 
急いで靴を脱ぎ、電話が鳴っている辺りへ急ぐ。
 
 
と、コードから抜かれた状態の電話機が鳴っていた。
 
 
 
「レナ、どうだい?」
 
 
「これは・・・以津真天ね」
 
 
「「以津真天?」」
 
 
 
それと同時に入ってくる千草の父親。
 
 
最初は驚いていた彼も、電話に出るよう促せば
 
 
二つ返事で出てくれた。
 
 
 
≪いつまでも・・・、いつまでも・・・≫
 
 
「あぁ・・・、あぁ・・・」
 
 
「分かった。
 行くよ、鬼太郎」
 
 
「うん」
 
 
 
呪符を電話に貼りつけ、外へ飛び出す。
 
 
と、妖気の場所となったたばこやが見えた。
 
 
 
 
 
 
 
 第二章.霊界からの着信音
 
 
 
 
 
 
 
 
 

次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ