作品展示

□姫の気に入るままに
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姫、唯一人のオレの姫
オレを救い出す唯一の光

この日の為ならば王子として
その全ての望みを


朝、自称王子ことベルフェゴールは相変わらず意味が分からなかった
一緒に朝食を取り、我儘に自分の分の片付けをせずソファーに寝転がっている

台所で片付けを済ませて呼ばれるまま傍に寄った
今思えば何であんな簡単に近寄ったのか…短絡的な自分が馬鹿みてーだった

「はーやと、ね…して欲しい事無い?」
「あ?何だよ其れ、てめー頭でもぶつけたか?」

「王子の特別ー、今日限りの限定モン」

「………いらね」

「何、ホントに要らないの?こんなチャンスもう無いかもしんねーのに」

「ああ?チャンスだ?…んな胡散臭いモン信じられっかよ」

「……――――隼人、今日限りの俺の本気」

「我儘王子のてめーが、言う事聞くなんて天地が引っくり返ってもありえねーだろ」

「だーかーら、今日限り。言わなきゃ隼人が損するぜ?」

「…じゃあ、今晩の夕食てめーが作れよ」

「ん?そんなので良いのかよ、じゃあ晩飯一緒に買出し行こうぜ?食べたいモン作ってやるから」

「…やっぱ頭ぶつけたんだろ、今から医者行くか?それともリボーンさん所行って見て貰うか…」

「………隼人、オレのことどう見てんの?」

「見たとおりにしかオレは言ってねーだろ」


沈黙の空間
お互いを見つめあい、言葉は交わす事無く互いが互いの出方を動きから窺おうと見ていたが痺れを切らしたのは獄寺の方だった
ソファーで寝ているベルの顔を掴み、前髪で大半が覆われている顔を凝視する
触れる限り体温、脈拍は正常
頭を打ったか…なんてのは分からないが、朝からそんな姿を見た覚えは無い

血が足りないかと言えば昨日は任務で上機嫌だったのを覚えている



「どーしたの?隼人。オレに見惚れてる?」

「あ?なんでんな沸いた頭になんだよイカレ王子」

「今日限定だぜ?して欲しいこと無いの?」

「……てめーが何時も通りになることだ」

「だーかーらーこれが何時も通りだったっての。何?隼人押し倒されたい?切り刻まれたい?傷付けんのは良いけど、隼人俺のだから未だ殺したくねーんだけど」

「だから、何でそう言う事になんだよ!押し倒すな、切り刻むな。てめーは此処で寝転んで、オレの傍から離れんな」

「………しし、何?隼人、其れ御願い?今日って知ってのプロポーズ?」

「…何の話だ?」




顔を見合わせたまま僅かにかみ合わない会話にお互いが首を傾げる
ベルフェゴールが顔を掴む獄寺の手を掴み、掌に口付け甲と続けていく

朝の清涼な空気と、日の光に金の髪がキラキラと輝く
何故か、神聖なものに見える光景に視線を横へと背ける獄寺

「隼人、俺を見て」

背けた視線に気付いたベルフェゴールは手の甲にきつく吸い付き、鬱血痕を残す
針で刺した様な一瞬の痛みと、白い肌には紅が目立つ

「隼人、今日だけ…早との望みを全て叶えるから。ね、願い事は?」

「……………―――――は」

「は?」

「果てろ!てめーは今日一日オレの半径五メートル以内に近よんなっ!」

「は?ってかそんなの俺外に出なきゃいけねーじゃん、嫌に決まってるし」

「願い叶えんだろーがっ!」

「そう言う願いは叶えないの」

「何だ其れっ!」

「王子の言葉は絶対」

「願いの意味が何処にあんだよっ」

「んー?だって今日は求婚の日だし」

「……………は?」

「カス鮫が言ってたんだよ。今日は求婚の日なんだってさー」
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