小説■第六巻■

□オオカミ少年とエロ王子
3ページ/7ページ

『あのっ///それ…//』
栄口少年は赤面して俯いてしまった。
小学5年生といえば立派に性の知識が入ってくる年齢であろう。
だが、実際エロDVDを見たことのある小学5年生はいったいこの世にどれだけいるであろうか。

性には興味津々。
だがそれはまだ遠い未来に起こりうる手の届かないモノのはず。
小学生にとってみれば性の知識は実益のものではなく、それこそファンタジーに近い何か現実味の帯びないモノなのだ。


それが今、栄口少年の目の前に現物のDVDがある。
年上の阿部旬によって、性が突然リアルなものに昇華した瞬間であった。


『こらこらこらこらこら!小学生の前で何出してんの!!』
思わず泉は声を上げた。
そして栄口少年の目に後ろから両手を廻して目隠しした。


『あははは!泉ちゃん何焦ってんのw小5なんてもうバリバリエロDVDくらい見てんだからwな?幸裕君♪』
しかし焦る泉とは裏腹に、旬は笑い飛ばしてそう言った。

『え//いや…あのっ…オっ俺…見たことないデス///』
そして栄口少年は俯いて呟く。
俯きながら赤面しているのが泉にも分かった。

『………マジ?見たことない?オレ、4年生の頃には兄貴のパクって見てたけど…。栄口さんだって部屋に一つや二つエロDVDくらいあるでしょ?』
思わず旬が冷や汗を垂らしてそう言った。


『てかそれは旬クンだからでしょう!てか小4て!早すぎでしょう!』
泉は栄口少年を匿いながら言う。
『早いの?でも小4でオナニー始めたしな〜?他人のことは分からないやw』
『小……4。。。』


もはや泉は言葉を失ってしまった。
自分ですら初オナニーは中学に入ってからなのだ。
そこにまさかの小4スタートとは…旬の早熟さに驚きを禁じえない。
オナニー歴では旬も泉もそれほど変わらないということなのか。



『ま〜そんなことはイイじゃん♪幸裕君、DVD見たいだろ?』
そして旬は泉と栄口少年の思いを無視して話を続けた。

『ダメダメダメ!まだ早いから!それは旬クンだけで夜楽しみなさい!』
泉はそう言い聞かせた。

『え〜?みんなで見るから楽しいんじゃ〜ん!』
だが旬は食い下がる。

『オレの監督下ではさせません!てかAVみんなで見る?それおかしくね??』
泉も断固として譲らない。



そこへ

『あのっぅ!!!俺っっ///見てみたい…デス///』


『え?』
『え♪』

横から聞こえた発言に泉と旬が同時に振り向いた。

そこには、赤面して俯いたままの栄口少年がもじもじと正座して座っていた、
そして
『勉強の為に見てみます!』
栄口少年は二人に向き直ると、まっすぐな瞳でそう訴えたのであった。



『だろ〜♪そうだよな〜♪オトコノコだもんな〜♪』
旬は手放しで喜んでいる様子だ。
『栄口クン///』
そして泉は何も言うことが出来ず、ただただ横のイタイケな少年の瞳を見つめ返すことしか出来なかったのである。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ