小説■第六巻■

□俺の弟がこんなに可愛いわけがない
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『え///マジで…何する気??』
孝介は畏怖の表情を浮かべながら俺を凝視した。
別に…何するってワケでもないけど、ちょっとばかり痛い目にあわせてやろうかなって。
くくくくく…一人の人間を支配下に置くってのは気持ちいいものだな?

『うるせぇよ…黙ってヤラれるようにヤラれてりゃ〜イイんだよ。』
言いながら俺は孝介のシャツのボタンをはずしていく。
ぷちぷちとひとつずつはずし、孝介が下に着ていたタンクトップをずり上げる。

露出した胸。
孝介の肌は男のものとは思えないほどに白く、艶々していた。
この艶かしいカラダが男を惑わすってか。


『ちょ…マジやめろって//』
孝介の危機感は最大限に高まっているのだろう。
わなわなした声で懇願に近い口調になっている。

『もうヤメられねぇよ…生意気なお前にはちょっとキツめのお仕置きが必要だからな。』
俺はニヤリと笑って孝介を見下ろした。
孝介は歯をくいしばりながら頬を上気させている。
心持ち涙目になっているのは気のせいではあるまい。

『悪かった…謝るから!』
孝介は叫ぶ。
『もう遅い。』

パシっっ







あまりにもうるさいから一つ平手打ちを食らわせてやる。
孝介は『くっっ』なんて言いながら俺をキっと睨んだ。
あ〜あ…根っから負けず嫌いなとこは子供の頃から変わってね〜な〜…
絶対的不利な状況でよくその目で睨めるよ。
我が弟ながら感心する。

だが

言い換えればバカとも取れる。
ここでそんな挑発的な目を俺に送ったら許すものも許せなくなるだろ?
こいつは男として男らしいが、その男らしさが身を滅ぼすタイプだ。


俺は無表情のまま孝介のズボンに手をかけた。
部屋着代わりに着ているジャージは脱がせやすいから楽だ。

『待て待て待て!!マジで!!兄貴///マジでやめてっての!!!!』

孝介は一層じたばたとからだを揺らせて俺から逃れようとする。
だから手錠で拘束してんだから逃げることなんて出来ないんだっつの。
そんな孝介をあざ笑うかのように俺はジャージを脱がせてやる。


露わになった孝介の派手なボクサーパンツが目に入った。


上半身は中途半端に脱がされ
下半身はパンツ一枚


『なんか全裸よりエロい光景だな。』
俺は一言そう呟くとスマホを取って画像を取ってやった。

『撮んなよ!!!!!!』
孝介が叫ぶが当然それで止めてやる俺ではない。


この画像は誰に送ろう?


『あんまり騒ぐとこの画像、浜田に送りつけてやるよ。』

『!!!!!!…………っ////』


あれ?
この言葉が一番効いた?

孝介は俺の言葉を聞くなり愕然とした表情で口を閉じた。
今までもしかして〜くらいの思いだったけど、俺の考えは当たっているのかもしれない。

『やっぱりお前…浜田の野郎と付き合ってんd…』
『そんなワケねぇだろ!!!!!!』


地雷
図星


孝介が食い気味に否定したことによって俺の勘が当たっていることを裏付けた。

え?
マジなの?

こいつ

浜田の野郎と

付き合ってる?

オトコドウシで??


『くくくくく…』
俺は思わず笑いがこみ上げた。
この感情はよく分からない。
実の弟がマジでオトコと関係を持っているという事実が兄の俺にこんなにダメージを与えるとは。

『何…笑ってんだょ…違う//ってんだろ//』

孝介は否定するが、涙をあふれさせて頬を赤く染めてるその表情が正解を俺に語ってるんだよ。


『別にイイんじゃね〜か。』
俺は無意識のうちにこう口にした。

『え//』

『別に…浜田と付き合おうがなんだろうが関係ねぇって言ってんだよ。親にチクるワケでもあるまいし。』
俺は自分で驚いている。
この正常ではない事実を理解している俺がいる。
俺…こんなに器のデカい男だったんだ〜なんて再確認。


『誰にも…言わない?』


孝介はおずおずとした口調で俺にそう尋ねてきた。
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