小説■第六巻■
□俺の弟がこんなに可愛いわけがない
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『何。。。くだらねぇこと言ってんだよ…』
孝介は少しばかり涙目になりながら俺を見上げる。
ああ…きっとこいつはこ〜ゆ〜顔で男たぶらかしてんだろうな〜って思う。
だってこれ、どっからど〜見たって怯えた女の目だろ。
『お前…マジで男そ〜やって誘ってんの?』
俺は無声音でドスを利かせながら孝介の耳元で囁いてやった。
孝介がぞぞぞと震えるのが分かる。
『だから///誘ってなんかねぇっての//』
平気を装いながら声が震えてんのバレバレなんだよ!
…って笑ってこき下ろしてぇ。
こ〜ゆ〜表情はぞくぞくするね。
兄として弟を支配した感じ?
だいたい兄弟喧嘩で弟が兄に勝つなんてことありえねぇんだよ。
俺は孝介の頬を親指と人差し指でぎゅうとつまむ。
孝介はたこみたいな口で俺を睨む。
強がって睨んだってちっとも怖くねぇなぁ?
むしろもっとこいつをぐちゃぐちゃに泣かせてやりたくなる衝動にかられる。
『放せよ…』
孝介は俺の胸をぐいぐい両手で押してくる。
なんだこいつ?
野球部のクセにこんなに力ねぇの?
こんなんでよくヒット打てるな。
あぁ…でもこいつは右打ちも左打ちも出来るスイッチヒッターだったな、生意気にも。
つ〜かむしろ男とも女ともヤれるスイッチヒッターなんじゃね?あ、上手いこと言った。
俺は孝介の頬から手を離してやった。
その代わりに孝介の腕をぐいっと引っ張ってずるずるとベッドへ引きずり倒してやった。
バフン
ベッドの布団に人が倒される鈍い音がする。
俺はこの音が好きだ。
そしてベッドに人を押し倒した光景がすっげ〜好きだ。
これは男の気分を昂ぶらせる魔法の景色だと思う。
『何すんだよ//いい加減にしろよ!!』
孝介が何か叫んでる。
だがそんなこといちいち俺は聞きやしねぇ。
面倒な声は雑音としか感じないんだ。
『お前マジ生意気だね?…だけどその顔、言葉とは裏腹な艶があるの気づいてる?』
俺は仰向けになった孝介に馬乗りになる。
『は?意味分かんねぇし//』
孝介はぷいっと顔を背け、ぐにゃぐにゃ体を捻らせて逃げようとする。
だけどそんなの、簡単に逃げられるワケないじゃね〜か…なぁ?
俺はいつも手に届く所に置いてあるおもちゃの手錠を手に取った。
それに気づいた孝介は目を大きく見開いて俺を見上げた。
こいつは赤ん坊の時から目がデカかったな。
俺はふとそんな郷愁を感じた。
『何する気ダヨ//』
孝介が警戒心を露わにした目で俺を見据える。
嗚呼…この目だ。
この目が俺の興奮を昂ぶらせる。
きっと学校の連中も孝介のこの目で誘われてるんだろうなって…
『何するって…手錠の用途はひとつしかないと思うけど?』
俺は冷酷な声で孝介に言い放った。
自分で言うのもなんだけど、俺ってちょっとSっ気があるんだよな。
女とヤる時もちょっとくれぇ苛めるくらいが一番ぞくぞくする。
そんな俺の言葉に孝介はじたばたしだした。
何とか逃げようとしてるみたいだ。
兄弟でこんなこと…ちょっとしたお遊びみたいなモノだろ?
だけど孝介はこの危機的状況を本能で察知しているんだろう。
つまり俺が本気だということを敏感に感じている。
それを敏感に感じ取れるほど、こいつは犯されまくってるんだろうな〜…
あ〜…マジでどうなってんの?こいつの性生活。
ガチャリ
俺は孝介の両手をベッドのパイプに手錠で拘束した。
孝介は万歳の格好をしたままで拘束され、俺の支配下に置かれたのだ。
『こんなことして…ただで済むと思うなよ//』
孝介は尚も強がりを言う。
だけど声が震えてんだよ…脅しにもならねぇ。
『ただで済まないってどうすんの?俺と喧嘩して勝てる?』
分かりきった答えの質問を投げかける。
すると孝介はぐっと押し黙った。
…こいつは自分の立場をよく理解しているようだ。
『別に…こんなのただのおふざけだよ。大体今日俺女に振られてイラついてんだよね…そんな時に俺に突っかかる方が悪いんじゃね?』
俺は孝介にそう諭した。
『別に突っかかってねぇだろ!いいからはずしてくれよコレ!!』
孝介は無我夢中でじたばたする。
そんなんで手錠がはずれることもなかろうに。
『悪いけど、もうここまで来たら後には引けねぇよ。』
俺はじたばたする孝介に冷たい目線を送りながらそう耳元で呟いてやった。