小説■第六巻■

□オオカミ少年とエロ王子
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【オオカミ少年とエロ王子】


『こんにちは!泉ちゃん♪』
『げ!…旬…クン。。。』

泉孝介の目の前に、阿部の弟・阿部旬が現れた。
思わずげ!っと声が出てしまう。

『あ、ひどいな〜「げ!」だなんてw今日はお友達が一緒にいるのに。』
そんな旬の言葉通り、横には旬よりも年下っぽい男子がもじもじと立っていた。


『あ…どうも、はじめまして☆』
泉はそんなもじもじ男子に優しく挨拶をする。
するとその男子はぱっと目を輝かせて
『はじめまして!!』
と挨拶をし返した。

そのあまりの素直さに泉はほのぼのとした感情を覚える。

『えっと…栄口幸裕といいます。』
そしてその男子は続けて自己紹介をした。
思わぬ名前が出てくる。


『え?栄口って…』
その少々変わった名前を持つ友人を泉は一人しか知らない。
野球部のチームメイト、栄口勇人だ。

『そう!泉ちゃん♪幸裕君は栄口さんの弟だよ☆』
泉の心の中を見知ったように隣の阿部旬が言った。
『あの…いつも兄がお世話になってます…』
そして栄口少年もペコリともう一度おじぎをした。


『へぇ!あ、でも言われてみれば似てるかもー♪』
泉は予想外の相手に驚いて、両手を叩いて声を上げた。
その仕草はまるで高校生男子とは思えない可愛さがある。
旬はいつもそう思っていた。

『あ、ボクは兄から泉さんの話をよく聞いてます。』
栄口少年がそう言うと
『あわわ…きっとロクなことじゃないよね?』
と泉はおどけて言った。

すると栄口少年は
『あ!いえいえ!むしろいいことしか聞いてませんよ?』
と答える。


『それはどうもw』
栄口が自分のことをよく言うことはないだろうな…などと思いながら、泉は社交辞令の出来た栄口少年にニッコリと笑った。
栄口少年はそんな泉の笑顔に赤面して俯いた。


『ねぇねぇ泉ちゃん、今から幸裕君と俺ん家でゲームするんだけど来ない?』
旬がそう言って泉の肩をぽんぽんと叩く。

『え?…でもオレが行ったら邪魔なんじゃ?』
子供たちの集まりに高校生の自分が参加してもいいのだろうか…
そんな疑問を瞬時に感じて泉は言う。
そもそも中学生と小学生が仲良くゲームをするという話も稀に思える。


『何言ってんの!ここは野球少年同士で仲良く遊ぼうよ!年なんて関係ないでしょwそれに新作のFFだよ!』
泉の言葉に阿部旬はこう答えた。

『何?FF?それは…行きたい!え〜…でもホントにいいの?』
FF…ファイナルファンタジー。
泉はこのFFというゲームが大好きでたまらない。
新作のFFと聞いて泉は断然行きたくなったのだが、泉は念の為栄口少年の方を見て窺った。
旬はよくても栄口少年にしてみたら邪魔なんじゃないかと思ったからだ。

すると栄口少年もコクリと頷く。
その笑顔に泉は安心した。



かくして泉は、阿部旬と栄口少年と阿部家に行って一緒にゲームをすることになったのであった。

高校生1年生と中学3年生と小学5年生。
奇妙な三人組であることには違いない。
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